(英エコノミスト誌 2019年5月4日号)

 この世界では過去20年間にわたり、デジタルサービスが経済や人々の暮らしを変えてきた。

 今ではタクシー、映画、小説、めん類、医師、イヌの散歩代行業者などを、スマートフォンの画面をタップするだけで呼び出したり取り寄せたりできる。

 小売、自動車製造、メディアといった業界では、大手企業が新しい競争相手にあっさり打ち負かされている。

 ただ、この混乱に耐えてきた産業が1つだけあった。銀行業である。

 高所得国では今でも、銀行の支店で行列に並んだり、取引銀行に書類を郵送したり、19世紀に設立された企業のロゴがスタンプされた小切手を銀行に預けたりすることがごく普通に行われている。

 しかし、本誌エコノミスト今週号の特別リポートでお伝えしているように、とうとうテクノロジーが銀行界に揺さぶりをかけるようになってきた。

 アジアでは10億人を超える人々が決済アプリを日常的に利用している。

 西側諸国でもモバイルバンキングが臨界に達しつつあり――米国人の49%が携帯電話で銀行取引を行っている――、大手ハイテク企業がこの分野に強引に割って入りつつある。