(英エコノミスト誌 2019年4月27日号)
ウクライナ首都キエフの選挙対策本部で、決選投票の第1回出口調査の結果を喜ぶウォロディミル・ゼレンスキー氏(2019年4月21日撮影)。(c)Genya SAVILOV / AFP〔AFPBB News〕
しかし、ウォロディミル・ゼレンスキー氏は国を統治できるのか?
ウクライナで新たに大統領に選ばれたウォロディミル・ゼレンスキー氏をネタにしたジョークは飛ばしやすい。
何と言っても同氏はコメディアンだ。その選挙運動には、軽薄すぎて効果がないと思われる場面も時折あった。
現職のペトロ・ポロシェンコ大統領が政治集会を開いている間、ゼレンスキー氏は、ひょんなことから大統領に就任する教師の役を演じる人気ドラマ「国民のしもべ」の撮影中だった。
大統領選への出馬宣言も後で思いついたつけ足しのようなもので、自分の妻に伝え忘れたほどだ。
しかし、4月21日の決選投票に73%の得票率で勝ったことは冗談ではなく、大きな偉業だ。
出馬表明から4か月間で、同氏は1991年のウクライナ独立以降で最大の多数派を形成してみせた。
これには、明暗が交錯するポロシェンコ氏のリーダーシップに対する苛立ちと、今よりも明るい将来を望む有権者の気持ちも寄与した。
ポロシェンコ氏が有権者を分断するナショナリズム的な選挙運動を展開したのに対し、ウクライナ南東部の出身でロシア語を母語とするユダヤ系のゼレンスキー氏は全国から支持を得た。