陸連に物申した大迫傑。写真は今年3月、東京マラソン出場を前に記者会見した際のもの(写真:ZUMA Press/アフロ)

 一石を投じることになるのか――。男子マラソン日本記録保持者の大迫傑が日本陸上競技連盟の強化委員会を痛烈に批判し、大きな波紋を広げている。

 自身のツイッター上で5月19日開催(ヤンマースタジアム長居)の日本選手権・1万メートルについて、参加資格を満たしていないため陸連強化委員会の推薦枠での出場を希望したものの断られたことを巡り、「どういう選手が推薦出場に値するのか明記してほしい」「そろそろ陸連を私物化するのはやめた方がいい」などと指摘。

 一方、予期せぬ形で第一人者に舌鋒を向けられた陸連側は、大迫の言動を眉をひそめている。

不透明な選手選考基準と連盟私物化

 その詳細に関しても大迫は「日本選手権、『本連盟強化委員が特に推薦する本連盟登録競技者』という枠で出場しようと試みましたが、叶いませんでした……。陸連強化委員からの『大迫くんが日本選手権でいい走りをするとそれに負けた選手のランキングが下がり、不平不満が出るから』という理由でした。すごい理由だな。笑笑」とツイート。陸連側は「誤解がある」と述べているが、その後もツイッター上で大迫の問題提起が続けられており、沈静化していない。

 大迫はシカゴマラソンで2時間5分50秒の日本新記録をマーク。3度目のマラソン挑戦でアジア人として初めて5分台を記録し、直近の参加レースとなった3月の東京マラソンこそ途中棄権したものの、それを除けばここまで毎回自己記録を更新し続けている。

 言うまでもなくトラックでの戦歴も華々しい。3000メートル、5000メートルの日本記録保持者でもあり、一昨年の日本選手権では1万メートルで連覇も達成。3年前のリオ五輪では1万メートルと5000メートルで代表に選ばれている。トラックでも文句なしの成績を残している「走る二刀流」だ。