「戦略的DXパートナーシップ協定」締結を発表した三菱地所の吉田淳一執行役社長(右)と立命館の仲谷善雄総長(左)、および実験予定の各種ロボット

 三菱地所と立命館は2019年3月28日、人とロボットの協業を前提とした社会の実現に向けた「戦略的DX(デジタルトランスフォーメーション)パートナーシップ協定」を締結したと発表した。自律走行型のコミュニケーションロボット、運搬ロボット、清掃ロボット、警備ロボットを活用した複数の実証実験を、立命館大学のキャンパス内で共同で実施する。ロボットを広く社会に展開していくうえで想定される各種課題の確認や解決策の検討、さらに多様なロボットを組み合わせたソリューションの開発を目指す。

 東京・大手町の三菱地所本社で協定の調印式に臨んだ立命館の仲谷善雄総長は、「ロボットは単に最先端の技術なのではなく、文化そのものになるかもしれない。しっかりとロボットとの関係づくりを進めていく必要がある」と語り、協定の意義を「人とロボットとの関係を構築していく第一歩」と説明した。

 オフィスビルや商業ビルでのロボット活用を積極的に試行してきた三菱地所は今回の協定を、新分野のビジネスを創出する具体的な足掛かりに位置づけている。

「テクノロジーの進展により事業環境は大きく変化しており、これまで通りのビジネスモデルでは立ち行かない。既存事業の概念を変えてまったく新しい事業を立ち上げるなど競争力を生み出すため、デジタルテクノロジーを活用してビジネスモデルの革新を推進している」。三菱地所の吉田淳一執行役社長は調印式で同社の現状をこう説明。立命館大学のキャンパスで展開する実証実験を通じ、学校が保有する施設の運営管理やキャンパスの価値創出といった「新領域で新たな価値を提供していく」と続けた。

私有地内のため、一歩踏み込んだ実証実験が可能に

 今回の協定での大きな特徴は、キャンパスを実証実験のフィールドとして利用できる点だ。キャンパスは立命館の私有地であり、敷地内であれば、道路の使用許可などを得たり届出をしたりせずに実証実験に臨める点が大きい。技術改良や運用方法確立のために、必要であれば数カ月以上にわたって実証実験を繰り返し行える。