インターステラテクノロジズ社が2023年に打ち上げを目指す衛星軌道投入ロケットZEROのイメージ図。(提供:インターステラテクノロジズ)

 人工流れ星放出衛星や宇宙ゴミ回収衛星、さらには月着陸船など、宇宙での多彩な活動の夢は大きく広がる。だが、どんなに画期的な衛星や探査機も、まずロケットで打ち上げ、宇宙に到達しなければ仕事が始まらない。

 ところが、どんどん増える超小型衛星に対して、ロケット供給が追い付いていない現状はあまり知られてない。その状況を打破しようと、世界で約100社のロケットベンチャーがしのぎを削る。

 早くからこの状況を予測し、2013年から北海道大樹町に本社を構え、既にロケット2機の打ち上げ実験を行っているのが、インターステラテクノロジズ(IST)だ。実業家の堀江貴文氏が出資していることでも知られる。

 同社がまず取り組んだのが、高度100kmに達する観測ロケット「MOMO」。3号機は年内に打ち上げ予定だ。だが、彼らの「本丸」は衛星打ち上げ用のロケットである。3月19日、同社は宇宙輸送サービスに関する事業戦略発表会を開き、100kgまでの超小型衛星打ち上げ用ロケットZEROの開発を、JAXAなどの協力を得て本格的にスタートすることを発表した。打ち上げ目標は2023年だ。

衛星軌道投入ロケットZEROの開発を推進するために、サポーターズクラブ「みんなのロケットパートナーズ」を始動。JAXAや丸紅など8つの企業・団体が参加。

 ISTのウェブサイトには「メディアの方々にお願いがあります」として「もう、ホリエモンロケットと呼ばないでください。ISTのロケットは、今日から、みんなのロケットになります」と、みんなのロケットパートナーズ発起人(山崎直子宇宙飛行士、岡田武史元サッカー日本代表監督ら)によって宣言されている。いったい、どんな背景があるのだろう。

観測ロケットMOMO3号機は年内打ち上げ予定

 まずは、ISTが現在取り組んでいる観測ロケットMOMOについておさらいを。日本初の民間ロケットMOMOは2015年頃から開発を進め、2017年7月30日に初号機打ち上げ実験を実施。だが打ち上げ66秒後に、ロケットからの通信が届かなくなった。空気の力を一番受ける「マックスQ」と呼ばれるタイミングで、機体が壊れたとみられる。