こんにちは、人事戦略コンサルタントの松本利明です。PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手のコンサルティング会社などで24年以上、人事と働き方の改革を行ってくる中で「おやっ!?」と思えることが実は多く発生してきました。

 実は、世間で言われる「セオリー」の9割が間違っているのです。思ったような効果が出ないのは、計算ミスより計算式そのものが間違っているのです。うすうす、あなたも気づいているのではないでしょうか?

 今回も「働き方改革」のセオリーの落とし穴と、代わりの速くラクに成功するコツについて解説していきます。

シェアできないから「働き方改革」も躓いてしまう

 働き方改革を成功させるためには「シェア」の要素は必須と考えられています。

 そこで、「ナレッジシェア」をはじめ、企業はシェアの施策をぐいぐい推し進めてきましたが、胸を張って「成功している」とは言い切れないのが現状ではないでしょうか。共有できているのはフリーアドレスのワークスペースくらい、というのがせいぜいなのでは?

 では、なぜシェアは重要だとみんなが思っているのに、実現できないのでしょう? カーシェア、ルームシェアなど他人とはシェアできるのに、より人間関係が近い会社の仲間とシェアできないのはなぜなのか?

 それはツールやテクニックの問題ではありません。人の本質を見落としているからです。早速解説しましょう。

シェアできない本当の理由は「信頼の薄さ」

 100円のペットボトルの水を高く売りたいなら、砂漠のど真ん中で売るのが一番でしょう。気温50度を超える環境で、喉がカラカラになった人はすぐ飛びついてくれるでしょうし、命が危ない状況になれば1万円の値が付いていても買ってくれる可能性があります。

 しかし、ここに落とし穴があります。

 売り手が初対面の相手の場合、買い手はそのペットボトルの中身が何なのかを知りません。仮に水だと分かっていても「飲んでも腹を壊さないか」といったような、品質面での信頼が置けないと買ってはくれません。「安心して飲める水」という情報が正しく伝わらないと、買ってくれないのです。

 逆に言えば、お互いに「信頼」がないとまともな商売は成り立たないのが普通なのです。私たちがふだん何気なくさまざまな商品やサービスを購入しているのは、売り手や作り手、サービスの提供者に対して無意識の信頼を置いているからなのです。

 この関係は、あなたが勤務する企業の中でも一緒です。知識や情報、ノウハウのシェアが進まないのは、社内の「信頼」が足りないからです。