韓国大統領、「日本政府はもっと謙虚な態度取るべき」

韓国大統領府(青瓦台)で年頭の記者会見を行う文在寅(ムン・ジェイン)大統領。「日本はもっと謙虚になるべき」の発言はこの時飛び出した(2019年1月10日撮影)。(c)Jung Yeon-je / POOL / AFP〔AFPBB News

 日韓関係の険悪化が止まらない。昨年12月のレーダー照射事件に続き、今度は韓国国会議長の口から「天皇謝罪」を要求する発言まで飛び出した。もはやわれわれの理解を超えてしまった韓国側の無法な言動に、日本はどう向き合っていけばよいのか。長年にわたって外交官、そして在韓国特命全権大使として日韓関係の最前線に携わってきた武藤正敏氏に、文在寅政権との対峙法について語ってもらった。(構成:阿部 崇)

(武藤正敏・元在韓国特命全権大使)

 徴用工問題、慰安婦問題、自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題、そして韓国国会議長による「天皇謝罪」発言問題。どれをとっても日韓関係が大きく損なわれるような問題が立て続けに起きています。なぜ日韓関係はこんなにも不安定な状況になってしまったのでしょうか。いうまでもなくそれは、文在寅政権の対日スタンスと関係しています。

「積弊清算」でちゃぶ台返し

 韓国との間の問題を考える上で、われわれ日本人がまず理解しておかなければならないのは、「文在寅政権の本質」です。

 文在寅氏は大統領選のさなかから、「積弊清算」と「歴史の見直し」を掲げていました。「積弊清算」とは、辞書的に解説すれば「長い間に積り重なった弊害に始末をつけること」ということになりますが、「積弊清算」「歴史の見直し」の前提には、「今までやってきたことは間違っていた。自分がやっていることこそが正しい」という発想があります。

 だから、文在寅政権は、どんな問題に対しても「自分たちが正しくて、相手が間違っている」という発想です。だから徴用工の問題、慰安婦問題も、過去の政権が積み上げてきた結論を「間違いだ」として、ぜんぶご破算にするようなちゃぶ台返しを繰り返しているのです。

 文在寅氏は、学生時代に当時の軍事政権に対する民主化闘争に参加、逮捕された経験を持っています。その後、人権派弁護士として活動。その際、盟友関係になったのが同じ法律事務所の先輩・盧武鉉氏でした。後に盧武鉉氏が政界に進出し、大統領になったときには、文在寅氏も大統領府入りを果たしています。盧武鉉氏は大統領在任期間、親北朝鮮と反米反日の政治姿勢を強く打ち出していましたが、文在寅氏もその点は全く同じです。

 文在寅大統領は今年年頭の記者会見で、過去に対して「日本はもっと謙虚になるべき」と発言しました。

 この発言に日本では大きな反発も生まれましたが、ここに文在寅政権の性格がはっきりと表れています。「謙虚になれ」という言葉には、「お前たち、まだ自分たちの過ちを認めようとしないのか。もっと謙虚になって俺の言うことを聞け」という発想がにじみ出ているのです。

 これが文在寅政権の本質です。