トランプ氏、マティス氏批判で同盟国に矛先 「付け込ませない」

米ホワイトハウスで、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)のサンタ追跡作戦に参加するドナルド・トランプ米大統領(右)とメラニア夫人(2018年12月24日撮影)。(c)SAUL LOEB / AFP〔AFPBB News

 12月20日木曜日、ジム・マティス米国防長官が辞任を表明した。その背景にはどのような事情があったのだろうか。

 米民主党のマーク・ウォーナー上院議員が言うように、「トランプ政権の混沌の中にあった、安定の島」であったマティス国防長官の辞任により、「大統領の気まぐれな思いつき」で、米国の政治が推し進められるおそれが高まることになるのだろうか。

 今回のマティス国防長官の辞任について、その原因がドナルド・トランプ大統領のシリアとアフガ二スタンからの撤退決定にあったとして、今年12月20日のAFP通信は、ショーン・タンドンとトーマス・ワトキンによる、トランプ大統領に対して以下のような批判的な分析記事を掲載している。

マティス長官辞任の背景

 マティス国防長官の辞任については、すでに兆候があった。

 今年10月トランプ大統領は米CBSテレビに対し、「彼(マティス国防長官)が去ることはあるかもしれない」、本当のことを言えば、「彼は一種の民主党員だと思う」と述べている。

 マティス国防長官は、辞任表明の際に、トランプ大統領がシリアから米軍を全面撤退させ、アフガニスタンからも重大な撤退をすることを表明したことに対し、国内外から抗議の声が沸き上がったことを指摘している。

 トランプ大統領は、米国はもはや「中東の警察官」ではなく、IS(「イスラム国」)は敗退したのだから、2000人の強力な米軍はもう必要がないと述べ、軍の突然の撤退という自らの政策を断固として擁護した。

 しかし、これまで衝動的な大統領に対するなだめ役とみられてきたマティス長官は、トランプ大統領に対する反対意見をあからさまに表明している。

 「あなたはあなたの見解により近い国防長官を選ぶ権利を持っているのだから、私は自分の地位を降りるのが正しいと信じている」と、マティス長官はトランプ大統領への手紙に述べている。

 マティス長官は、ISを撃ち破るための同盟諸国を、70年来の北米と欧州の間のNATO(北大西洋条約機構)とともに、称賛している。しかし、トランプ大統領は、NATOについても、その費用対効果に対し疑問を呈している。

ベトナム訪問中の米国防長官、かつての枯れ葉剤貯蔵施設跡を訪問

ベトナム南部ホーチミン市のビエンホア空軍基地で、同国軍関係者に迎えられるジェームズ・マティス米国防長官(右、2018年10月17日撮影、資料写真)。(c)KHAM / POOL / AFP〔AFPBB News