(英エコノミスト誌 2018年12月8日号)
中国長春市で、高速鉄道「復興号」に乗り式場に向かう新郎新婦(2018年8月18日撮影)。(c)CNS/張瑶 〔AFPBB News〕
冷笑的な世界観が中ロ両国を結びつけている国境地帯からルポをお届けする。
中国の長春(チャンチュン)からロシアのウラジオストクに至る高速鉄道は、中ロ友好の素晴らしいシンボルになるだろう――誰かがそれを完成させてくれれば、の話だが。
中国側の路線は近代的で、カバノキの林や赤い屋根の農家などをぼんやりと眺めながら絹織物のようにスムーズな乗り心地を楽しむことができる。
ただ、線路はロシアとの国境に近い琿春(フンチュン)の駅で終わってしまう。
吉林(チーリン)省の省都である長春から始まる高速鉄道の終点が、なぜこの町――人口23万人に満たない、友好的だが単調な町――なのか。地元の住民は当初、この点については話したがらなかった。
420億人民元(60億ドル)を投じて作られた鉄道は、2015年に開通した。
公式記録によれば、吉林省は極東ロシアで最大の港を擁する都市ウラジオストクまで鉄路を延ばすから手を貸してほしいとロシアに持ちかけた。
ところが、ロシアのわがままのせいでその計画はおじゃんになった、と琿春の住民はぼやく。
「『建設したいなら、どうぞご勝手に』とロシア側に言われたんだ」