(英エコノミスト誌 2018年12月8日号)
仏パリで、黄色いベストを着用して抗議するデモ参加者(2018年12月1日撮影)。(c)AFP/Abdulmonam EASSA 〔AFPBB News〕
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しかし、大統領としての挽回はまだ可能だ。
神々が住んでいたとされるオリュンポス山とは雲泥の差だ。昨年、エマニュエル・マクロン氏は改革を任されて大統領に堂々就任した。
それが12月に入ると、フランスは改革など不可能に見えた。
パリ市街には焼け焦げた自動車があちこちに転がり、窓ガラスが粉々にされた商店も見受けられる。
農村部の一部はマヒ状態に陥った。よく目立つ黄色のベストを着込んだデモの参加者が、道路の通行を遮断し、燃料貯蔵施設を封鎖したためだ。
政策の実施延期を余儀なくされたマクロン大統領は、数ある国の中でも最も頑固なこの国の改革を試みた近年の前任者たちと同じくらい弱々しい存在に見える。
ローマ神話の主神「ユピテル」のように超然と政治を行う大統領になると約束したこともあった同氏は今、どう見てもただの人間だ。
2017年5月の選挙でマクロン氏が勝利を収めたことは、フランス、欧州、そして世界について新たな楽観論が芽生える前触れであるかに思われた。