ヤンゴンの環状線を走るディーゼル機関車(筆者撮影、以下同)

 ミャンマーの最大都市ヤンゴンから首都ネピドーを通り、古都マンダレーへと国土を縦断する幹線鉄道の改良工事が始まった。

 経済成長を牽引する最重要インフラとして日本が改修に向け調査を進めてきた、全線620キロの路線だ。

 ヤンゴンから3時間あまり北上したニャウレービン駅で11月11日に開かれた起工式は、大動脈が整備される期待、そして着工に漕ぎ着けた安堵感、また激化する鉄道輸出競争への緊張が入り混じった高揚感に包まれた。

全線620キロのキックオフ

 ハイウェイを降りて木立の中を1時間あまり走っただろうか。

 赤い手書きの案内板に従い車が左折し、赤、青、黄の小旗が両脇に飾られた小道を100メートルほど進むと、突き当りがニャウレービンの駅だった。

 上りと下り、2本の線路が左右に伸びる向こう側の駅舎には金や白の布が張り巡らされ、プラットホームには大きな花束と演台、そしてプラスチックの椅子が整然と並んでいる。

 反対側のホームには、普段と違う駅の様子に集まって来たらしい付近の住民たちが並んで腰を下ろしている。

 大音量で流れるミャンマー語の歌が、以前、ミャンマー国鉄(MR)の幹部に自慢げに聞かされた鉄道広報ソングであることに気づいて、思わず笑みがこぼれる。

 開会時間より1時間半も早く到着したにもかかわらず、会場はすっかり準備が整い、間もなく始まる晴れがましい時を待っているようだった。