仏北東部モブージュにあるルノー工場を訪れ、ドローンを操作するエマニュエル・マクロン大統領(左から2人目)と同行したブリュノ・ルメール経済・財務相(右から2人目)、ルノーのカルロス・ゴーンCEO(右、当時)、ティエリー・ボロレ同最高執行責任者(COO、左、2018年11月8日撮影)。(c)Etienne LAURENT / POOL / AFP〔AFPBB News〕
(英エコノミスト誌 2018年11月24日号)
カルロス・ゴーン氏の転落が示唆する大きな問題
カルロス・ゴーン氏ほど激しい転落を経験する最高経営責任者(CEO)はほとんどいない。
11月16日には、同氏はルノー、日産自動車、三菱自動車工業という自動車メーカー3社の会長の座にあり、ナポレオン式の経営手法でその名を知られていた。
それが11月20日になると、警察に身柄を拘束され、自身の報酬を当局に過少報告(5年間で約4500万ドル)していたと日産から告発されていた。
少なくとも、本人は、自分にどれほどの価値があるかを示す別の数字を眺め、自分を慰めることができるだろう。
逮捕の報が伝わった後、3社の株価は急落し、計50億ドル、率にして7%の時価総額が失われた。
この3社の複雑な提携関係を管理・運営できる人間はゴーン氏しかいないと投資家はやきもきしている。ゴーン氏は信用を失ったが、それと同時におそらく替えの利かない存在でもあるのだ。
一個人の存在、不在、あるいは行動が一企業の価値に不釣り合いなほど大きな影響をもたらすとき、その企業にはキーパーソンリスクが生じる。
このリスクはあちこちに潜んでいる。