自身のデバイスで、物理のテストを受ける生徒たち。この後のグループワークでもデバイスを活用していた。

 教育現場でのICTの活用がさまざまな方面で模索されている。効果的な授業へとつなげていくには、どうしたらよいのだろうか。ICTを用いた教育活動に造詣の深い明治大学総合数理学部准教授の五十嵐悠紀氏が、女子校への導入事例からICT活用の要点を考察する。(JBpress)

BYODによるICTを利用した授業を導入

 2020年から始まる小学校でのプログラミング教育を目前とし、教育現場でのICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の利活用が急速に進んでいる。

 コンピュータールームに移動しての情報科の授業や、電子黒板などによるスライドを使った授業は、何となく想像がつくかもしれない。ところが、筆者は自分の母校である、鴎友学園女子中学高等学校(世田谷区)が「BYOD(Bring Your Own Device)」という、「自分で持っている機器を学校に持ち込んで使用する」授業を今年(2018年)の4月から始めたと聞きつけ、早速見学に行ってきた。

 案内してくれたのは、筆者が在学当時、社会科の授業でお世話になり、鴎友学園で44年間も女子教育に邁進した吉野明(よしの・あきら)名誉校長である。今年9月に出版した『女の子の「自己肯定感」を高める育て方』(実務教育出版)も話題だ。

「テストを送ります」

 まずは、物理の授業を見学させてもらった。

「さて、公式を覚えているか確認テストをします。テストを送ります」と先生が合図する。