聖光学院野球部を率いる斎藤智也監督(左)と横山博英部長(右)。ふたりの監督としてチームを作り上げる(筆者撮影)。

 夏の甲子園を騒がせた金足農・吉田輝星や大阪桐蔭・根尾昴らのドラフトに注目が集まる中、各地では101回目の夏に向かって新たな戦いが繰り広げられている。

 今年、史上最多の12年連続甲子園出場という偉業を成し遂げたチームがある。福島県・聖光学院。1999年からチームを率いる斎藤智也監督は「名将」として高校球界に名を馳せる。

 今秋も県大会を制し、東北大会(10月12日開幕)に駒を進めた。ここから春の甲子園を目指す。勝ち続けるチームの組織作りはどこが他と違うのか。聖光学院を取材し続けるスポーツジャーナリスト田口元義が迫った。(JBpress)

技術指導以上に重視するミーティング

 今年の夏まで福島県での公式戦41連勝。県内では無類の強さを発揮する聖光学院が、この秋の県大会も制した。

 福島県の人間にとって、それはもはや当然のこと。最も驚いていたとすれば、斎藤智也監督をはじめとする指導者たちだろう。

 そのことは、優勝直後の斎藤監督の言葉からもはっきりと受け取れる。

「県大会に入る前は優勝なんて考えられなかった。そのくらいチーム状態は悪かったからね。正直、ビックリしている」

 斎藤監督は、聖光学院というチームがどれだけ周りから「強豪」と呼ばれようとも浮かれることはない。勝ってもなお物足りなさを抱く。果たしてこのチームは「いい歩みをしている」と言えるのだろうか――指導者たちは自問自答を繰り返し、選手たちの背中を押し、前へと進む。

 その渇望があるからこそ、斎藤監督は春夏合わせて20回もチームを甲子園に導くことができたし、大舞台で23勝もの勝ち星を積み重ねられている。夏に至っては、全国で戦後最長となる12年連続出場を果たせるまで、毎年、成熟したチームを構築できているのである。

 そんな聖光学院の強さの源に「人間を作る育成」があり、その構築を支える組閣にある。

 野球というスポーツに人生をかける以上は、身も心も捧げるつもりで取り組まなければならない。他人の想いを背負い、自らも人の心を揺さぶるくらい、野球を通じて魂の練度を極限まで高めることはできるのか? そのことを選手たちに理解させるべく、野球の技術指導以上にミーティングを徹底的に行う。ときには斎藤監督が愛読する安岡正篤や中村天風、塩沼亮潤といった賢人たちの著書から引用したプリントを選手たちに配り、人の在り方を説く。