組織のデジタル変革を経営の視点で推進する役割を担うCDO(Chief Digital Officer)。ネスレ日本では専務執行役員チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)の石橋昌文氏がCDOの役割も務めている。石橋さんに、マーケティングの責任者としてデジタル変革をどう捉え、どう実践しているかをうかがった。

 聞き手は、デジタル分野における経営陣コミュニティ「CDO Club Japan」理事の鍋島 勢理さん。

各事業部と協働してマーケティングを実行

――御社の高岡浩三社長に、CDOの役割を果たしているのはどなたかとうかがったところ、石橋さんをご紹介いただきました。

 私は「CDO」という肩書きは持っていないので、まず現在のCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)としてどういう仕事をしているかのご説明から始めましょう。

 私が本部長をしているマーケティング&コミュニケーションズ本部は、各事業部のマーケティング部門をサポートする機能に加え、コーポレートコミュニケーションと消費者コンタクトを担う部署があります。

 コーヒーなどの飲料事業、チョコレートなどのコンフェクショナリー事業、Eコマース事業など、それぞれの事業部ごとにマーケティングは行っていますが、私は全社を横串で見て、サポートしたりリードしたりします。従来のマーケティングでは、テレビコマーシャルを作って、消費者キャンペーンを作って、最後にPRとデジタル施策を考える、という順序でした。それをプランニングの最初からPRとデジタルを含めた3点セットで企画をスタートしましょう、と数年前から話をしており、その取り組みはかなり進んできました。