米連邦最高裁判事候補に指名されたブレット・カバノー氏。上院司法委員会の公聴会で(2018年9月5日撮影)。(c)SAUL LOEB / AFP〔AFPBB News〕
(英エコノミスト誌 2018年9月29日号)
一人の大物のレイプの告発を機に始まった運動は、女性の平等を目指す、女性参政権以来の強い力になるかもしれない
米国映画界の大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏が性犯罪者であることが暴かれたのは1年前のことだった。
それまでは、同氏が女性をどのように扱っているかは業界の一部の広報担当者、弁護士、ジャーナリストたちの間では公然の秘密だった。
状況次第では権力者が自分でルールを定められるという暗黙の了解に同氏は守られていた。
この1年で、その了解が喜ばしいスピードで瓦解した。あらゆる職業で、米国に限らずほかの国々でも、権力を持った男性が辞任に追い込まれている。
足元では、米国の最高裁判所判事に指名されたブレット・カバノー氏が、学生だった数十年前に性的暴力を振るったとの告発を立て続けに受け、判事就任が承認されない可能性が出てきている。
芸能事務所のソファーで始まったうねりが、最高裁判所の裁判官席にまで届いた格好だ。
これは進歩だ。それでもまだ、発祥の地であり最も大きな影響を受けている米国において、「#MeToo」運動の運命はどちらに転ぶかまだ分からない状況にある。
その理由は、カバノー氏の事例を見るだけで分かるだろう。