僕は電通に入社してから大阪で6年、それから東京で5年ほど働いていました。その頃は、クリエーティブなことや面白いことって、東京とか大都市じゃないとできないのかなと思っていたんです。けれども、実は自己表現している面白い人が日本のあちこちにいる。それが大きな発見でしたね。

──東京中心の見方だと、地方はもう衰退の一途だと思われています。

日下 人口とかGDPとかで見るとそうかもしれません。だけど、やっぱりニューウエーブというか、地域には新しい流れが現れている気がします。儲けるだけじゃなくて、新しい価値観で行動する人たちが増えている。彼らはソフトなヒッピーというか、緩やかなコミューンというか、つながりとか共有とかを大切する感覚があるんですよね。

──経済性や効率性を追い求めない、大都市の人には見えない豊かさがあるということですか。

日下 あるんですよ。今、日本は経済が停滞して、大企業で面白いことをやるのが難しくなりつつあります。一方、働く環境はどんどん厳しくなっている。みんな、残業で大変ですよね。東京は通勤も過酷です。でも地方では、恵まれた自然環境の中で豊かな生活を送っている人がいるんですよ。東京の40代、50代の人はよく「定年退職したら、これをやりたい」みたいな夢を語るじゃないですか。それを20代、30代でやってしまっている人がいる。きちんと商売に乗せている人もいるし、乗せないまでも質の高い生活を送っている人がいるわけです。そういう人たちを見ていると、すごいなと思うんですよ。

──日下さんにとって、元気な街の理想形やあるべき姿とは。