(英エコノミスト誌 2018年7月28日号)
英首都ロンドンの国会議事堂。ウェストミンスター宮殿の名でも知られる(2017年10月30日撮影)。(c)AFP PHOTO / NIKLAS HALLE'N 〔AFPBB News〕
足元の絶望的なムードをとりわけ悪化させている3つの要因
この国は衰退しつつある――。最近は、そのような心配をせずに英国の政治情勢に目をやることが難しくなっている。
1900年には、大英帝国はこの惑星の3分の2を支配しており、ロンドンのシティーは最も重要な金融市場で、英国は輸出額でも輸入額でも世界一だった。
今日の英国は、昔の帝国の面影でしかない。内向きで不安に駆られ、経済は停滞しており物価も高い。国民は真っ二つに割れ、将来を心配している有様だ。
お定まりの条件を付けたり本質から目をそらしたりして、一時的に難を逃れることは可能だ。
曰く、英国の衰退は絶対的というよりは相対的なものである。曰く、今日のグレート・ブリテンならぬリトル・ブリテンの平均的な市民は、世界史上最大の帝国だった大英帝国の平均的な市民よりもはるかに豊かだ。
曰く、ほかの先進国も低成長に何年も苦しんでいる。曰く、科学と医学は進歩を続けている。
しかし、衰退の証拠はあまりに大きく、どこにでも転がっているため、無視することなど、とてもできない。
英国の中核を成す政治機関は、崩壊がかなり進んだ状態にある。