金正恩氏の目の前で北朝鮮の将軍に敬礼、トランプ大統領に非難

金正恩氏の目の前で北朝鮮の将軍に敬礼、トランプ大統領に非難。(2018年6月1日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / SAUL LOEB〔AFPBB News

 7月12日、某新聞の電子版に次のような見出しで記事が掲載された。

 「ミサイル防衛『矛盾』なぜ 警戒縮小、システムは配備拡大 北朝鮮脅威遠のき 背景に米中2大国」

 中身を読んで、安全保障に対する理解度の低さに今更ながら驚いた。テレビのワイドショーならまだしも、日本を代表する有力紙までがこの程度なのかとため息が出る。

短期的な事象で判断できない防衛力整備

 記事には「北朝鮮のミサイルに対しては警戒態勢を縮小し、その一方で新たなミサイル迎撃システムを導入する。北朝鮮の非核化を合意した米朝首脳会談が終わった後、日本政府が矛盾するかのような対応をしている」とある。

 簡単に言うと米朝首脳会談で非核化が合意され、政府はミサイル警戒態勢を縮小したのだから、新たに導入する陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」は不要ではないかという趣旨だ。

 テレビの娯楽番組で軍事的知識のないお笑いタレントが呟くならまだいい。だが電子版とはいえ、日本では一応クオリティー・ペーパーと言われている有力紙である。

 「警戒態勢の縮小」という短期的な事象と「情勢見通しと防衛力整備」という長期的な事柄を同じ土俵に載せて批判する「矛盾」に気が付いていないとしたら、程度は相当低い。

 6月22日、小野寺五典防衛大臣は「イージス・アショア」を配備する候補地の山口、秋田両県を訪ね、「北朝鮮の脅威は変わっていない」と必要性を述べた。

 一方、同日に菅義偉内閣官房長官が記者会見で北朝鮮の弾道ミサイル発射に備えた住民の避難訓練を「当面は中止する」と発表した。このことが矛盾するというわけだ。

 つまりミサイルに対する避難訓練が中止されるような情勢なのだから、イージス・アショアはもう不要だと主張する。