金正恩氏、再選のプーチン氏に祝意

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(2016年5月10日撮影、資料写真)。(c)AFP/Ed JONES〔AFPBB News

 「北朝鮮問題は中国問題である」

 それが本稿の主題である。ただし、ここで論じたいことは、「北朝鮮に対する制裁の成否は中国にかかっている」とか、昨年時点でのドナルド・トランプ米大統領のように「まずは中国に任せてみよう」などという当面の対処に関することではない。

 より大事なことは、「北朝鮮の核・ミサイル問題への対応を誤ると、中長期的に見て、日本を取り巻く戦略環境が、中国を利する方向に激変するかもしれない」という点である。以下、これについて説明していく。

従来型の危機の構図

 そもそも北朝鮮によるICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発とこれへの核弾頭の搭載は、日本の安全保障にとってどのような問題なのだろうか。

 1つには、北朝鮮が国際社会の反対を押し切って核やミサイルを開発することを許してしまうと、国際的に大量破壊兵器などが拡散する契機となって国際社会の不安定化を招き、これが日本の安全にとって好ましくないということがある。

 しかし、より直接的に問題なのは、休戦状態にある南北間で、偶発的にせよ意図的にせよ軍事衝突が再発した際に、核があることによって北朝鮮の立場が強くなるということである。

 戦火が韓国領土に及べば、米韓防衛条約に基づき米国が直ちに韓国防衛に当たることになり、日米安保の下で日本もその後方支援を行うことになる。

 これに対して北朝鮮は、米国や日本による韓国支援をさせまいと、あらゆる手段で恫喝してくることが予想される。

 この時に、北朝鮮が米国や日本に届く核ミサイルを保持しているかいないかによって大きな差が生じる。

 本土への核攻撃という恫喝によって、米国や日本の世論に影響を与え、韓国の防衛、そして北朝鮮への攻撃から、米国の手を引かせ、たとえ紛争が起きても最低限現在の体制を維持することこそが、北朝鮮の核・ミサイル開発の狙いである。