アクセルスペースが2014年に打ち上げた「ほどよし1号」(分解能6.7m)の観測画像。今年末に初号機3機を打ち上げ予定の「AxelGlobe」計画では50機の衛星が分解能2.5mの目で毎日世界中を観測する。宇宙から毎日定点観測することで、変化を見逃さず、未来予測をも可能にする。(提供:アクセルスペース)

 7月14日に打ち上げられる、気象情報会社ウェザーニューズの専用衛星「WNISAT-1R」。その超小型衛星を開発したスタートアップ(ベンチャー)、アクセルスペースに注目が集まっている。

 同社は今年、「WNISAT-1R」を含め4機の衛星を打ち上げる。そのうちの3機は、「AxelGlobe(アクセルグローブ)計画」の最初の3機。この計画は、2022年までに50機の超小型衛星群を打ち上げ、宇宙から観測することで、世界中の「今」を観測しようというものだ。

 前編「50機の衛星群で勝負に出る大学発宇宙ベンチャー」では、「衛星を売る」ことから「データを売る」ことへの同社のビジネスモデルの転換や、大型資金調達に至るまでの舞台裏、そして宇宙ベンチャーを取り巻く風向きの変化を見てきた。

 AxelGlobe計画は、ようやく大きな一歩を踏み出そうとしている。

 では、「AxelGlobe」が実現し、50機の衛星が毎日、世界中の経済圏を2.5mまで見分ける目(分解能)で観測すると、私たちの暮らしはどのように変わるのか? 同社の中村友哉社長に、引き続き話を聞いていく。

アクセルスペース代表取締役 中村友哉さん。1979年、三重県生まれ。東京大学博士課程修了までに3機の超小型衛星の開発に携わる。2008年にアクセルスペースを設立。日本橋の新オフィスにある、クリーンルームの前で。