新5ポンド紙幣にチャーチル首相の肖像、9月から流通

英国で2016年9月から流通しているウィンストン・チャーチルの肖像をあしらった5ポンド紙幣(資料写真)。(c)AFP/POOL/Joe Giddens〔AFPBB News

 米国大統領の執務室に英国の名宰相ウィンストン・チャーチルの胸像が8年ぶりに帰ってきた。

 バラク・オバマ前大統領が就任直後に撤去していた胸像を、ドナルド・トランプ新大統領が就任初日に戻したのだ。この胸像の扱い方ひとつにも新旧大統領の世界観や外交観の断層を見て取ることができる。

 1月20日、就任式を終えたトランプ大統領は、ホワイトハウス入りした直後に執務室にチャーチル像を飾った。場所は執務デスクのすぐ右手の小さな卓の上である。まさに、いつも大統領の目の前にあるというわけだ。

ブレア首相がブッシュ大統領に寄贈

 ウィンストン・チャーチルといえば、第2次世界大戦中にドイツの攻撃で破れそうになった英国を率いて戦勝へと進んだ救国のヒーローである。戦後の世界でも米国のルーズベルト、ソ連のスターリンと並んで国際的な新秩序の形成を指導した。

 チャーチル氏は母親が米国人だったこともあり、米国との絆は特に密接だった。戦後も米英連携の基盤構築を主導したのはチャーチル氏だった。

 チャーチル氏の胸像は、米国生まれで後に英国人となった彫刻家ジェイコブ・エプスタイン氏によって制作され、2001年に米国第43代大統領となったジョージ・ブッシュ氏に英国のトニー・ブレア首相(当時)から贈られた。

 この寄贈は、両国の歴代政権が米英を「特殊な関係」として位置づけてきたことの再確認であり、対テロ戦争で緊密に協力したブッシュ、ブレア両首脳の親密さの産物でもあった。ブッシュ大統領は早速このチャーチル像を自分の執務室に飾った。