クリントン氏メール問題、さらに150通が機密扱いに

米アイオワ州ボールドウィンで演説するヒラリー・クリントン前米国務長官(2015年8月26日撮影)〔AFPBB News

 文中敬称略

 米大統領選に向けた指名争いが熱を帯びてきている。10月13日に行われた民主党大統領候補による公開討論会では元国務長官のヒラリー・クリントンがその発信力、政策立案力を遺憾なく発揮した。一時下降線をたどっていた支持率も再浮上しそうだ。

 ところがヒラリー、大統領になり得る要素をすべて備えているにもかかわらず、「好感度」では「好き」が36%、「嫌い」が55%。

 「ヒラリーはなぜ好かれないのか」「なぜ嫌われているのか」――。

 9月末に出た本書「Unlikeable: The Problem with Hillary」(「ヒラリーが好かれない、これだけの理由」)はそれにずばり答えたセンセーショナルな1冊だ。

世界中を駆け巡ったヒラリーの「TPP反対」発言

 米メディアは共和党大統領候補で不動産王のドナルド・トランプばかり追いかけているが、「誰もトランプが共和党大統領候補に指名されるとは思っていない」(共和党選挙担当者の1人)。

 一方米各紙が民主党サイドで書き立てているのは、彗星のごとく現れた自称民主社会主義者の上院議員、バーニー・サンダース。党内切ってのリベラル派。大学生など若者を中心に根強い人気がある。もう1人は名実ともに本命視されるヒラリー。

 民主党大統領候補に指名され、さらには本選挙で大統領になるかもしれない可能性を秘めている。それだけに一言一句には重みがある。

 その1例は、10月7日には、オバマ大統領が政治生命を賭けて実現を目指し、5年の歳月を経て、やっと合意に漕ぎつけたTPP(環太平洋経済連携協定)にヒラリーが反対した発言だ。

 米国の次期政権はTPPを破棄するかもしれない――といったニュースが世界中を駆け巡った。

 下降気味の支持率を上げるために、TPPに反対している民主党の基盤である労働組合や中西部の民主党票田に秋波を送ったという説がもっぱらだ。が、オバマ大統領に反旗を翻すことでバイデン副大統領の大統領選出馬を牽制したとの見方も出ている。

 いずれにせよ、これを見てもヒラリー・クリントンの影響力の凄さが分かるというものだ。