11月20日の衆議院法務委員会で、結婚していない両親から生まれた婚外子の遺産相続を嫡出子と同等にする民法の改正案が可決された。

 これは9月に最高裁が、婚外子の遺産相続を嫡出子の半分と定めた民法の規定を違憲と判断したことを受けたものだが、野党が提出した戸籍法の「婚外子」の記載をなくす法案は、公明党は賛成したが自民党の反対多数で否決された。

 この背景には、自民党内の保守を自称する政治家の抵抗がある。高市早苗政務調査会長は最高裁判決について「ものすごく悔しい」とコメントし、夫婦別姓にも反対して「日本の伝統を守ろう」と言う。彼女の守ろうとする伝統とは何だろうか。

婚外子の差別は「家」制度の遺物

 戸籍という制度は古代中国からあり、一時は東アジア全体に広がったが、今は日本以外は形骸化している(韓国は2008年に廃止した)。現在の戸籍制度はこうした東アジアの伝統とは違い、明治時代の民法で制度化されたものだ。

 その最大の特徴は、個人ではなく「家」を単位としたことである。ここでは嫡出子の長男が家長(戸主)とされ、正妻と妾、嫡出子と婚外子などの序列が決まった。これは日本を近代国家として組織するため、個人を国家に組み込む制度だった。身分制度が撤廃されて「四民平等」になったので、国家の管理を逃れる者をなくして秩序を維持する必要があったのだ。

 明治国家は、天皇が「日本の家長」として頂点に置かれ、それぞれの家ごとに家長を頂点とするピラミッドがあり、「新平民」と呼ばれた被差別部落民は壬申戸籍で差別され、内地人と朝鮮人は同じ日本人でも「本籍」で差別される、多重ピラミッド構造の家父長国家だった。

 この構造を徹底するために、日本独特の「続柄」が戸籍に記載され、嫡出子と婚外子の区別も戸籍法で定められた。結婚しているが入籍していないとか、複数の妻を持つといった事態は家の同一性を危機にさらすので、正式の婚姻を強制することが家父長国家を維持するために不可欠だった。