先日、久しぶりに会った後輩が憂鬱な顔で、「私はカントン(Can)レンタルに住んでます」という。果たして「カントンレンタル」とは何だろう。

 聞いてみると、自分が今借りているアパートの持ち主が、銀行の抵当にアパートを入れていて、自分が引っ越したくても保証金を返してくれないという。

不動産バブルが弾け「ハウスプア」が続々誕生

 「カントンレンタル」の「カントン」は缶のことで、持ち主が無一文なので、保証金を返してもらえないことを言うのだそうだ。

 銀行に自分のアパートを抵当として入れるのは勝手だが、その設定金額が以前の不動産景気の良い時のものなので、アパートの値段が下落した今では、保証金も返せないほどだという。

 まさに、大家さんが「ハウスプア」になり、そのしわ寄せを筆者の後輩が被っているのである。

 「ハウスプア」とは、韓国の新造語で家を買うときに銀行からの借り入れが多すぎて、毎月の借入金の返済支払いに困ってしまう人たちのことを指す。

 不動産バブルの時は、アパートは投資または投機の対象であった。アパートを抵当に入れて銀行からお金を借りて買えば、数年後にアパートの値段が上がるので、それを売ってもっと広いアパートに引っ越すことができた。

 しかし、5年ほど前から不動産バブルが弾け、そうなると無理して買ったアパートの借入金の返済支払いで首が回らなくなる人たちが増えた。これをメディアでは、「ハウスプア」と言う。

 10月22日、韓国消費者院の発表によると、韓国人の1人当たりの結婚平均費用は5198万ウォンだという。これは、韓国の結婚当事者1000人を対象に調査したもので、住宅関連費用を除いたものである。

 男性は平均5414万ウォン、女性は4784万ウォンだという。新婚世帯当たりの住宅購入費用は、2億7200万ウォンで、保証金を預けて借りる場合は1億5400万ウォンだった。こうした結婚費用の負担や住宅関連費用の負担がまたプアになるきっかけとなる。