韓国の李明博大統領が8月10日に強行した竹島上陸は日韓関係に衝撃波を送り、北東アジアの安全保障までを激しく揺れ動かすこととなった。そして北東アジアの安全保障の支えとなっている米国にも大きな影響を与えることも必至となった。

 米国としては、アジアでの中国の軍拡と北朝鮮の核兵器開発による安保情勢の悪化から、日本と韓国がともに米国の同盟国として新たな絆を築くことへの期待を高め始めたところだった。だが現実は逆に日韓両国が相互に反発を激しくする展開となってしまった。では、米国はその新たな事態にどう応じるのか。

米国が日本と韓国の安保協力を強く求める理由

 オバマ政権は2011年秋からアジア新戦略を打ち出すようになった。イラクやアフガニスタンに投入した対テロ闘争の戦力をアジアに回そうという戦略である。イラクやアフガニスタンに駐留した米軍をそのままアジアに動かすというわけではないが、両国から撤退した分の余力をアジア駐留として増強するという思考だった。

 動機は第一に中国の大規模な軍拡である。オバマ政権は中国とはっきり名指しすることを避けながらも、中国の海軍、空軍、ミサイル戦力、宇宙兵器などの増強に懸念を表明し、それに対する抑止力の強化としてアジアでの米軍増強を目指すようになった。

 だが、米国政府は深刻な財政赤字に悩まされている。赤字を減らすために、新たな支出を抑える必要が切迫している。そのために国防費の画期的な削減策が打ち出された。アジアでは米軍兵力を増強せねばならない一方で、米国政府の全体の軍事経費を減らさねばならない。まったく矛盾する状況が生まれたのだ。

 その結果、米国でのアジアでの同盟国、日本、韓国、フィリピン、オーストラリアなどがそれぞれ軍事能力を強化することへの期待が高まった。