韓国サムスン電子のタブレット端末「ギャラクシー・タブ(Galaxy Tab)」に「アイパッド(iPad)」のデザインを盗用されたとして米アップルが販売差し止めなどを求めていた英国の裁判で、9日、英高等法院の判事は「サムスンはアップルの登録意匠を侵害していない」と判断し、アップルの訴えを退けた。

 判事が判断の理由としたのは、「サムスンのタブレットのデザインはアイパッドほど格好良くなく(クールでなく)、アイパッドと混同することはない」というもの。人の主観、あるいはデザイン性の優劣を根拠に判決が下ったことの珍しさもあって、この裁判が大きな話題になっている。

サムスン、勝利と引き換えに屈辱味わう

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サムスン電子の「ギャラクシーS3(Galaxy S3)」〔AFPBB News

 これは当初サムスンがギャラクシー・タブの3モデルについて、アップルの故スティーブ・ジョブズ氏や同社工業デザイン部門上級副社長のジョナサン・アイブ氏などが手がけたデザインを侵害していないと主張して裁判所に判断を求めていたのもの。

 これに対しアップルが異議を唱え、その後訴訟に発展した。

 ネット上に公開された判決文によると、英高等法院のコリン・バース判事は、「アップルとサムスンのタブレット端末は、厚さや背面のデザインに顕著な違いがある」とし、「ギャラクシー・タブにはアイパッドの特徴となっている、控え目で徹底したシンプルさがなく、アイパッドのようにクールではない」と結論付けた。

 これを受け、英フィナンシャル・タイムズなどのメディアは「サムスンはアップルの訴えを退け、販売差し止めという事態を回避できたが、それと引き換えに屈辱を味わった」などと報じ、両社間における法廷闘争の激しさを伝えている。

 ただし、サムスン側は「当社の知的財産が支持された」と歓迎の意を示しており、「もしアップルがこうした一般的なデザインについて、他国でも行きすぎた法的権利を主張し続けるならば、業界のイノベーションと消費者の選択の自由が不当に阻害される」と述べている。