8日のNY市場はリスク回避の動きが強まり、ユーロやポンド、資源国通貨は下落し、ドル、円、スイスが上昇している。週末にS&Pによる米国債の格下げが実施されたが、とうの米国債市場は落ち着いた動きをしており、むしろ、景気減速懸念が強まり、ダウ平均が634ドル急落する中、ドル回帰の動きが見られている。

ユーロドルは一時1.41台前半まで下落。ECBがイタリア債やスペイン債を終日に渡って買い支えたことから、先週の安値を下回ることは無かったが、軟調な展開となっている。ここ数日値幅が300ポイント超に達しており、変動が激しい相場展開が続いている。イタリア、スペインのみならず、きょうはフランス国債の格下げ懸念も出始めていた。S&P関係者はAAA維持を表明していたが。

円相場は円高の動きが優勢となり、ユーロ円や豪ドル円のみならず、ドル円も一時77.50近辺まで下落。

政府・日銀が先週実施した介入ラインは77.10付近で、この水準に徐々に接近している。G7声明では、為替市場について、市場で決定される為替レートを支持することを再確認したとしているが、過度の変動や無秩序な動きには対応する姿勢は示した。現在の動きが無秩序かどうかは、財務省の見方次第なので何とも言えないが、介入ポイントに接近すれば、警戒感は高まりそうだ。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)