7日のNY市場はドル売りが優勢となった。この日はバーナンキFRB議長の講演が終盤に控えている他は、特に目ぼしい材料も無い中、景気減速やギリシャ問題への懸念が一服しており、為替市場はドル売りが優勢となった。ユーロドルは1.47台を目指す動き、ドル円は80円割れを目指す動きが見られている。

バーナンキFRB議長は緩和的な政策が依然として必要と述べたことで、ドル売りが強まり、ドル円は瞬間80円を割り込む場面も見られたが、80円台は何とか維持している。今年の成長率は想定よりもやや低くなったが、後半に勢いづくとも述べていた。

依然として慎重姿勢を継続しているものの、追加緩和第3弾(QE3)を想像させるような過度に悲観的な雰囲気もない。概ね現状維持といったところで、想定範囲内の内容だったと思われる。他の連銀総裁の発言も、タカ派、ハト派双方あるものの、追加緩和については今のところ否定的な見解が多かった。

◆格付け会社は民間関与はデフォルトとの認識も
償還が来るギリシャ国債に対して民間債権者が「自発的」に借り換えに応じ、実質的に債務履行を繰り延べる案がギリシャ支援に盛り込まれようとしている。ドイツもECBも賛成の方針のようだ。自発的な繰り延べであることから、デフォルト(債務不履行)ではないとの解釈。しかし、これに対して格付け会社ムーディーズは、現状で民間債権者が自発的に借り換えに応じるとは考え難く、それを自発的とみなすのは困難なことから、デフォルトに相当する可能性が高いとの見解を示していた。中東欧の金融安定を目的とした2009年のウィーン・イニシアチブとは違い、ギリシャのケースは非常に遅い段階での実施になると指摘。投資家の頭にはギリシャのデフォルトリスクがはっきりと浮かんでいるとしている。前日はフィッチ・レーティングスが救済目的の債務借換が行われればCに引き下げの可能性を示していた。民間債権者が自主的に債務繰り延べに応じたとしても、条件が悪くなるようであれば、デフォルトと見なすとしていた。どうもこの問題は波乱含みの展開も予感させる。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)