東京23区に古城を訪ねるシリーズも、いよいよ最終回。ここまで、23区内に意外なほど多くの城跡があることに驚いた読者もいるかもしれない。ただ、前稿で紹介したような怪しげな城跡伝承地も、実は23区内には多いのだ。中には「シロヤマ」の地名だけが伝わっていて、そもそも「シロ」が「城」に由来するのかすら、わからない例もある。 怪しいというなら、梶原景時の館や城跡だとする伝承地は23区内だけでも3〜4箇所ある。同じ鎌倉幕府の有力御家人というのなら、比企能員や八田知家や安達盛長の伝承地だってあってよさそうなものだが、景時だけやたらに多くて明らかに不自然だ。なぜ、このような怪しげな伝承地が生まれたのだろうか。