角川エンタテインメントが映画『イーグル・アイ』の販促活動の一環として制作したPDF版フライヤーの最大の特徴は、文章や画像だけでなく、Flash動画による予告編やゲーム、クイズなどが組み込まれている点だ。それを可能にしたのが、アドビ システムズの「Adobe Acrobat 9 Pro Extended」である。

本欄ではこれまで3回にわたり、動画など形式の異なるファイルを束ねるポートフォリオ機能や、充実したプレゼンテーション機能、円滑で迅速なコミュニケーションを促進するコラボレーション機能などを紹介し、ビジネスシーンでも様々な形で応用できることを解説してきた。

最終回となる今回は、同フライヤーの「ゲーム、クイズ画面」に注目してみたい。

まず、『イーグル・アイ』販促フライヤーのメニュー画面から、「オリジナルクイズ＆ゲーム」を選択する。映画に関するクイズに全問正解すれば、PDFからWebにアクセスして映画鑑 賞券プレゼントに応募できる（キャンペーン自体はすでに終了）。さらに、サスペンスタッチの「ミッション実行ゲーム」をクリアすれば、「Adobe Acrobat 9」ファミリーの最上位製品であるAcrobat 9 Pro Extendedや地デジ対応PCなどが当たる豪華プレゼントに応募することも可能だ。マニアックな映画ファンやゲーマー世代を刺激する趣向が盛り込まれ、知らず知らずのうちに、映画の近未来的な世界に引き込まれていくつくりになっている。

角川エンタテインメント
ドリームワークス劇場宣伝グループ
岡ゆかり氏 「PDF上でインタラクティブにクイズやゲームができるというのは、とても画期的だと思います。最近ではWeb上で映画のプロモーションサイトを立ち上げることが多いのですが、アクセスが集中するとレスポンスが遅くなるのが悩みでした。その点、PDF版フライヤーなら、1回ダウンロードすれば、手軽にコンテンツを楽しんでいただけます。『イーグル・アイ』のおもしろさを体感するツールとして有用性が高い、と感じますね」（角川エンタテインメント ドリームワークス劇場宣伝グループ・岡さゆり氏）

同フライヤーのクイズ画面は、Acrobat 9 Pro Extendedに同梱された「Adobe Presenter」によって作られたものだ。こうしたインタラクティブコンテンツは、eラーニングをはじめ、ビジネス用途でも幅広く活用することができる。

Microsoft PowerPointで作成したスライドに、簡単な操作でビデオや音声、クイズなどを追加。こうして作成したインタラクティブなドキュメントをPDFに変換するだけで、オンラインコンテンツとして配信することができる。高価なeラーニング専用ソフトを導入しなくても、手軽に充実したコンテンツを作成することができるのだ。

クイズの習熟度の測定や、回答結果に応じた教材の進度調整も自由自在。合格点やクイズの試行回数制限なども、きめ細かく設定できる。PDFには音声や映像も組み込めるので、ビデオ映像やナレーションを取り入れた、魅力ある教育コンテンツに仕上げることができる。学習効果の向上も大いに期待できそうだ。

受講者側にとってのメリットも大きい。Acrobat 9で作成されたeラーニングコンテンツは、無償のAdobe Readerさえあれば閲覧できる。このため、時間と場所を選ばず、自分のペースで勉強することができる。多忙な業務時間を割いて研修に出席する必要もない。

これ以外にも、Acrobat 9には多くの便利な機能がある。その1つがPDFフォーム機能だ。

これは、アンケートの作成・配布・データ収集を効率的に行うための機能。研修やセミナーの後にアンケートを回収したはいいが、集計・分析に時間がかかって大変な思いをしたという経験はないだろうか。これもAcrobat 9のPDFフォーム機能を使えば、大幅な効率アップが期待できる。

Microsoft WordやExcelの文書から、入力可能なPDFフォームを作成し、受講者にメールで配布。PDFフォームには回答やコメントが直接書き込めるので、受講者はPC上でフォームに回答を入力し、返信するだけでいい。また、アンケートの集計作業が自動的に行えるだけでなく、集計結果の表計算ソフト用への書き出しも可能。さらに、「いつ、誰から返信が来たか」も容易にトラッキングできるので、回収作業も大幅に効率化できる。

従来のPDFのイメージを一新し、ビジネスツールとして大きな進化を遂げた、Adobe Acrobat 9。それは、プレゼンテーション力の向上や業務効率化、チームコラボレーションの強化など、ビジネスを飛躍的にパワーアップさせる可能性を秘めている。明日からでも簡単に始められるツールとして、ぜひ活用してみてはいかがだろうか。