ITに消極的な企業の「何も変えない」ことのリスク

 中小企業で多く見られる、経営陣らのITに対する消極的な考え方は、現場の社員にも蔓延する。ゼロ情シスや1人情シスの社員は、なまじ詳しいことから任せられたというケースが多い。そして彼らは、「PCが起動しなくなった」「サーバにアクセスできない」「LANがものすごく遅い」といった、各部署の社員からのヘルプが発せられるたびに駆けつけるトラブルシューティングをこなすことで日々精一杯である。このような状況で、ITによる経営革新も何もあったものではない。

 もし、会社がこのような状況にある場合、経営陣も事業部門リーダーも、そして現場の社員もだれ一人として声を上げなければ、その先、何も始まることはない。「今の情報システムに別に不満はないから、そのままでいい。ITに多額のお金をつぎ込むなら、ほかに回すべきだ」という考え方に立つ者も少なくないだろう。

 しかしながら、ここで1つ警告をさせてもらわねばならない。それは、「ITについては別段困っていないし、今のままでいい」といった考え方は今や通用しなくなってきているということだ。言い換えれば、ITに携わる組織・人材やIT製品の導入・運用などのスタイルについて、何も変えず、現状を続けることがもたらすリスクと、そうしたリスクが顕在化して引き起こされる企業へのダメージは、一昔前とは比較にならないほど深刻になっているということだ。次段では、中堅・中小に顕著な、ITに消極的な企業の「今のまま何もしない、何も変えない」ことのリスクの典型として、「サーバが老朽化してもそのまま使い続けることのリスク」を挙げて説明しよう。

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