日商エレクトロニクス 「使えるVDI」Virtual DesktopInfrastructure を手に入れるには 自社のシステムを客観的に知ることが不可欠 日商エレクトロニクスと米国リキッドウェア・ラブズ社が日本国内で初のVDI支援サービスをスタート!

クライアントPC運用管理の省力化や省コスト化、セキュリティ強化などのメリットから近年急速に導入が進むVDI(デスクトップ仮想化基盤)。だがせっかくの新しいITインフラを導入したのに「期待通りの効果が挙がらない」、「こんなはずではなかった」という声は決して少なくない。その原因は何か。そしてVDIの本当の価値やメリットを実現させるにはどのような対策が必要なのだろうか。

「まず移行ありき」のVDI導入が成功しない本当の理由と課題

 VDI(デスクトップ仮想化基盤)とは、文字通りそれぞれのクライアントPCにあるデスクトップ環境をサーバー上に集約して稼働させる仮想化技術だ。社員一人ひとりのPCの中にあるソフトウェアやデータはすべてサーバー側に集められ、必要に応じてPCからアクセスする仕組みのため、たとえばPCが故障しても、従来のようにデータが消失したりする危険がない。万が一ノートPCなどを紛失しても、そのハードディスクにデータが保存されているわけではないので、重要な機密データが外部に流出する心配もない。またPCはサーバーへアクセスするだけの端末になるため、これらを管理する情報システム担当者の負担やITコストも大幅に軽減する。エンドユーザーの社員にも会社にも、いいことづくめの仮想化技術といえよう。

青木 俊氏

青木俊
ITプラットフォーム事業本部
ITプラットフォームビジネス推進部長

 だが、それにもかかわらず、VDIを導入した企業の間では、期待通りの成果が出ないという悩みがあちこちで聞かれるのも事実だ。このVDIへの期待と現実の落差は、一体どこから来るのだろう。

 「その原因は、お客様が自社の環境を正確に把握しないままVDIへの移行を進めてしまうことにあります」と指摘するのは、日商エレクトロニクス株式会社(以下、日商エレクトロニクス)ITプラットフォーム事業本部 ITプラットフォームビジネス推進部長 青木 俊氏だ。同氏によれば、VDIへの移行を成功させるには、まず自社の既存のPC環境を正確に分析、把握し、どれだけの仮想デスクトップの環境規模が必要かといった入念なサイジングが欠かせないという。期待した成果が得られない例のほとんどは、こうした移行のための事前調査と設計の重要性に気づかないまま、VDIのメリットだけに着目して移行を実施してしまった結果だという。

 このサイジング自体も、単純に以前のPC台数を仮想化すれば済むというものではない。日商エレクトロニクス ITプラットフォーム事業本部 ITプラットフォームビジネス推進部 第一課 課長 木村 悦治氏は、「たとえばこれまで100台のPCがあったとして、その100台が実際にどれくらい使われているのか。つまり稼働率を正確に分析して、最適な移行規模を割り出すことが必要です。そのまま100台分のVDIにしたら、使われていないPCのコストまで一緒に移行してしまいます」と説明する。さらにこうしたモニタリングは、最低でも1か月程度の稼働状況を詳細に追わないと正確な結果は得られないという。

 「繁忙期と閑散期では、まったく稼働率が異なります。自社のPCの利用状況を時間軸でとらえる視点が、実務で使えるVDIの実現には不可欠なのです」(青木氏)。

 こうした日商エレクトロニクスならではのVDI移行の考え方とノウハウをサービス化したのが、今回リリースされた米リキッドウェア・ラブズ社との協業による「VDI支援サービス」だと青木氏は言う。

木村 悦治氏

木村悦治
ITプラットフォーム事業本部
ITプラットフォームビジネス推進部
第一課 課長

日本初の客観的かつ定量的な指標に基づいたVDI支援サービス

 そもそも日商エレクトロニクスが「VDI支援サービス」という新しいソリューションを提供しようと考えた背景は何だろうか。それには仮想化技術を始めとした海外の最新テクノロジーをいち早く国内に紹介してきた、ディストリビュータとしての長い経験とノウハウがあると、同社ITプラットフォーム事業本部 事業本部長 坂井 俊朗氏は語る。

 「当社は1985年、シリコンバレーに米国法人を設立して以来、他社に先駆けて最新のテクノロジーを国内に紹介し、それを日本のお客様の課題にマッチさせるソリューションとして提案してきた歴史があります。もちろん今回のVDI支援サービスも、Citrixの国内ナンバーワン ディストリビュータとしてVDI構築を手がけてきた経験の蓄積が元になっています」。

 言うまでもなくCitrixは、XenDesktopプラットフォームで世界的な実績を持つVDIのパイオニアだ。日商エレクトロニクスは、このCitrixの仮想化技術にいち早く着目。約20年間にわたって日本国内での提案、構築、そして運用保守を手がけてきた。そうした仮想化のエキスパートとしてのキャリアに注目した国内の多くの企業から、せっかく自社でVDIを導入したにもかかわらず、期待通りの成果が得られていないという相談を数え切れないほど受けてきたのだという。

坂井 俊朗氏

坂井俊朗
ITプラットフォーム事業本部
事業本部長

 「しかしそうした失敗を、情報システム担当者だけの責任に帰するのは無理があります。というのもVDI移行には、誰でも使えるモノサシや教科書のような標準化された基準がそもそも存在しないからです」(青木氏)。

 前章で触れた移行台数の見積もりだけではない。一口にPCといっても、その会社や部署によって使い方は質的にも量的にもまったく異なる。また同じ台数規模でもアプリケーションの使い方によって必要なサイジングがまったく変わってくると、日商エレクトロニクス ITプラットフォーム事業本部 ITプラットフォームビジネス推進部 第一課 課長補佐 藤森 譲氏は明かす。

 「どんなアプリケーションがどれくらいの負荷をシステムに与えるのかを考えずに移行すると、それまで動いていたのがVDIへ移行した途端に動かなくなるというのは、非常によくある話です。日々の業務はアプリケーションによって処理されていますから、このサイジングの失敗は、ビジネスの現場を直撃するリスクをはらんでいます」。

藤森 譲氏

藤森譲
ITプラットフォーム事業本部
ITプラットフォームビジネス推進部
第一課 課長補佐

 これからもわかるように、VDI移行にあたっては、それぞれの会社や部署のPCの利用実態ごとに最適の移行サイズやシステム構成を割り出さなくてはならない。リキッドウェア・ラブズ社のVDIアセスメント&移行ツールは、こうしたリスク対策を含めたVDI移行のプロセスを、時間軸やアプリケーション負荷といった客観的かつ定量的な指標に基づいて分析し、課題を解決しながら進めていく点が大きな特長だ。そうした意味でも今回のVDI支援サービスは、日本初の科学的な手法を用いたVDI移行ソリューションの登場と言っても過言ではない。

VDI導入から現状の課題分析・解決までをトータルに提供するサービス

 それではさっそく今回のVDI支援サービスの、主なサービスメニュー4種類について見ていこう。

1.VDI適合調査サービス

これからVDIの導入を検討する企業を対象にしたサービス。現在の物理PC環境の企業状況を正確に把握することを目的にしている。現在のPCをこれくらい使っているので、VDIのサイジングはこれくらいからスタートするのが適切といったアドバイスを、顧客に対して行う。システム規模の面でも費用の面でも過大や過小のない、最適化されたサイジングを実現できる。具体的には、アプリケーションやPCリソースの利用状況を最大3か月にわたって情報収集し、そのユーザー固有の状況を詳細にレポートする。

VDI適合調査サービス 図

2.VDI課題調査サービス

すでにVDIを導入しているが、現状に満足できない。または問題を抱えているという企業を対象にしたサービス。「システムトラブルが多い」(情報システム部門)、「部分導入してみたがコストがかさみ、とても全社展開できない」(経営層)、「PCが遅くなって業務に支障をきたしている」(社員)といった部門ごと、立場ごとの課題について、原因究明と対策立案を行う。原因究明だけでなく解決のためのソリューションまでをトータルで提案できる点は、日商エレクトロニクスならではの強みだ。

VDI課題調査サービス 図

3.クラウド型VDI定期診断サービス

すでにVDIを導入済みの企業に、毎月1回、利用状況をモニターして結果を簡易レポートとして送付するサービス。クラウド型のサービスなので導入コストが一切かからず、毎月数万円程度のリーズナブルな料金で気軽に使える点が特長だ。

「お客様自身がレポートを見て、先月に比べて負荷が増えてきているので増設を検討しようとか、繁忙期に備えて容量を拡張しようといったトラブル予防が可能になります。またこの結果、年間を見通したより適切なシステム投資計画が実現します」(青木氏)。

クラウド型VDI定期診断サービス 図

4.プロファイル移行サービス

実はVDI移行では、PCの中に入っている個人特有のプロファイルデータの移行がもっとも手間がかかる。一般にこの作業はシステム担当者が手作業による人海戦術で行うことが多く、手間も時間も膨大にかかるのが悩みだ。だがこのサービスを利用すれば、自動的かつ安全に古い物理PCからVDI環境にスムーズに移行できる。情報システム部門の作業負荷を軽減する上で、画期的なサービスだといえる。

プロファイル移行サービス 図

 以上4つのサービスに加え、日商エレクトロニクスでは2016年夏をめどに、さらに新しいサービス、「IT資産棚卸サービス(仮称)」を検討中だという。リキッドウェア・ラブズ社のツールは、システムの内部のアプリケーションやツールの挙動のほぼすべてを把握できる。この強力なシステム管理パワーを利用して、VDI移行のためのアセスメントだけでなく、より幅広い応用サービスを展開しようというのだ。

 「リキッドウェア・ラブズ社のツールを使うと、アプリケーションの利用状況が一目瞭然です。つまり使っていないアプリケーションまでを発見して、不要なライセンスを削減するといった棚卸し/仕分けが簡単に行えるため、資産管理ツールとして使えるのです」と青木氏はツールの可能性を語る。さらには個人が勝手にインストールしているゲームや、PCのUSBポートにつないで充電中のスマートフォンまでつぶさに発見できるため、セキュリティやITガバナンスの強化にも役立つという。リキッドウェア・ラブズ製品を応用したサービスやソリューションの可能性は、今後のアイディア次第でさらに広がっていくと同社では考えている。

パートナーシップを強化し日本のユーザーへさらなる価値提供を目指す

 今回の日商エレクトロニクスとの協業について、リキッドウェア・ラブズ社 副社長としてアジア・パシフィック地域の販売・管理責任者を務めるジョセフ・アン氏は、まさにベストのタイミングだと評価する。

Joseph Ahn氏

Joseph Ahn
Liquidware Labs
Vice President
and Solution Engineer -
Asia & Japan

 「日本のお客様は、品質や安定性に非常に厳しい目を持っています。その一方で、新しいものには常に高い関心を示すという特性もあります。いわば新しいテクノロジーへのフロンティアとも言うべき日本市場で、今VDIの需要は急速に盛り上がっています。そうした状況で、お客様にとってメリットの大きいVDI支援サービスを提供できることは、当社が日本市場において存在感をあらわす上でもまたとない機会だと考えています」。

 同社のVDIアセスメント&移行ソリューションは、すでにグローバルで大手企業による多くの採用実績を誇っており、日本企業のハイレベルな要求にも十分に応えることができるとアン氏は強調する。また日商エレクトロニクスをパートナーとして選択したことについては、「仮想化技術への理解や実績、自社のデータセンターを活用したトータルソリューションを持っているといった数々の点でパーフェクトなパートナーであると、社長以下全員が確信しています」と期待を隠さない。

 これに対して坂井氏も、「これまでのITの歴史を見ても、新しいテクノロジーの多くは大手ベンダー単独で生まれるものではなく、優れたベンチャー企業同士のコラボレーションから生まれてきたという事実があります。リキッドウェア・ラブズ社との協業も、まさにVDIをきっかけにした今後の新しいITソリューションやサービスの創出に向けた第一歩だと考えています」と語る。1969年の設立以来、「テクノロジーは社会を変えてゆく」との哲学のもとで、常に海外の最新テクノロジーを日本に紹介してきた日商エレクトロニクス。2016年4月からは、ソリューション・サービス提案力をさらに強化すべく組織改革を実施し、新たな事業部体制で顧客の課題を先取りする提案活動を強化しているという。今回のVDI支援サービスも、そうしたさらなる成長のための取り組みであるのは言うまでもない。現在VDI移行を検討中の企業や、すでに導入したVDI環境の問題で悩んでいる情報システム担当者は、ぜひ一度このサービスを検討してみてはいかがだろうか。

集合写真 Corporate Profile

日商エレクトロニクス株式会社
1969年、日商岩井株式会社(現、双日株式会社)により設立。最新テクノロジーへの目利き力と経験に裏打ちされた技術力で、世界の最先端技術をいち早く日本国内の顧客に提供し、時代を先取りする技術やシステムを事業化しながら新しい市場を開拓してきた。近年は、環境の変化に柔軟に対応するクラウドをベースとしたソリューションを積極的に展開し、Innovation-Leading Companyとして、新たな成長力を創出するイノベーションの実現に取り組んでいる。
http://www.nissho-ele.co.jp/

Liquidware Labs社
2009年に設立。VMware View、Citrix Xen Desktop、Red Hat、Microsoft Windowsなどに関するデスクトップ仮想化ソリューション業界のパイオニアとして活躍を続けている。Stratusphere FITおよびStratusphere UX、ProfileUnityなどのVDIアセスメント&マイグレーション・ソリューションは、革新的な技術によって数々の受賞歴を誇り、世界中の大手企業によって採用されている。
http://www.liquidwarelabs.com/

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