迷惑メールがこれまで以上に、巧妙化・凶悪化しています。迷惑メール内のURLをクリックするだけで、不正なWebサイトへ誘導され、さまざまな被害に遭うケースが多発しているのです。例えば、金融機関やECサイトを騙ったフィッシングサイトなども、そうした迷惑メールによって誘導される不正サイトのひとつ。不正サイトと聞くと、個人情報などを入力しなければ、実際の被害に遭うことはないと思っている人も少なくありません。しかし、現在ではそのサイトにアクセスしただけで、ウイルスに感染させられたり、情報を抜き取られたりするケースもあるのです。お気楽電機がはまった落とし穴も、まさにこのケース。これによって、同社が補償しなければならない賠償リスクは計り知れません。また、取引先やお客様に対する信用も大きく失墜することになるでしょう。
迷惑メール防止法は俗称で、正確には「特電法」と「特商法」があります。「特電法」は正確には「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」といい、「特商法」は「特定商取引に関する法律」といいます。2005年の改正により、迷惑メールに関する、刑事罰規定が設けられ、2008年には「オプトイン方式(広告・宣伝メールを送る際に、ユーザに事前に許可を取ること)による規制の導入」や「法の実効性の強化」「国際連携の強化」などが設けられました。しかし、残念ながら改正による効果は限定的です。というのも、国際的な連携は強化しているものの、最終的な判断や処罰は各地域に任せられることになるため、どうしてもそこに温度差が生じてしまうからです。一方、国内でも、ボットネットから送信される場合(迷惑メール業者が他のパソコンを踏み台にして送信するケース)や送信元の登録情報が詐称されている場合は、業者の摘発は困難です。今後の法執行にも期待したいものの、すぐに迷惑メールが減るわけではないため、やはり自ら対策を立てる必要があるといえるでしょう。