スマートフォンの普及と合わせて、「findiPhone」や「Android デバイスマネージャー」など位置情報サービスへの注目が再度、高まってきた。

 基本的に、紛失した携帯電話の探索を目的としたものであるが、その利用形態は紛失時にとどまらない。位置情報は、検索や買い物履歴から導き出される消費者の嗜好、SNSから読み取れる人間関係、決済から明らかになる消費行動などに続く、最後のマーケティングフロンティアである。自動車やライフログと併用することでビッグデータの中核要素の1つとなる位置情報をめぐって、IT企業各社の動きが本格化してきた。利用者、特にビジネスパーソンにおいても、他人事ではない事態が近づきつつある。

これまでは「拒否できないユーザー向け」だった

 位置情報サービス自体の歴史は意外に古い。第1次ブームとしては1997年の自動車向けサービス「コンパスリンク」、2001年開始の「ココセコム」(迷子対策等)などが知られている。

 費用負担やプライバシー関連の制約が乏しい業務用サービス(車両管理、保守サービス)が先行し、これを、主に児童、高齢者(徘徊)などを対象としたプライバシーの問題が比較的少ない用途から導入が進んできた。

 現在の第3次ブームの注目例であるNTTドコモの「ペットフィット」(宅内と宅外で、ペットの位置を照会できる)も、この流れの延長線上にある。

 言い換えれば、やむを得ない用途で、あれば助かるもの、意地悪い言い方をすれば、端末を持たされても文句が言えない利用者がターゲットとなってきたということだ。

市場で大反発を受けた「カレログ」

 2011年の第2次ブームの際は、知る人ぞ知る、位置情報照会の本命と言えるサービスが市場を賑わした。「カレログ」である。