最近テレビコマーシャルでも見かけるようになったが、新たな近視矯正法が広まりつつある。日常生活の中で多くの制限や制約を伴う眼鏡やコンタクトレンズを捨てて、新しい近視矯正によって、より快適でクリアな視界を得ようという流れだ。

 今回紹介するのは2つ。かなり広まってきた、手術による矯正法「レーシック」と、特殊なレンズを装着することで近視を矯正する「オルソケラトロジー」だ。

手術で角膜を薄くするレーシック

 レーシックは、手術による視力矯正だ。手術といっても、レーザーによる施術で、痛みはなく15~20分という短時間で終了する。長年、眼鏡やコンタクトに縛られてきた人にとって、裸眼でいきなり1.2や1.5という視力が出ることは、かなり感動的らしい。

 どのようにして矯正するのか? ご存じのように、近視は、目の中の水晶体が過度に収縮した状態で、光の焦点が網膜の前で結んでしまうことから起きる。レーシックは、水晶体ではなく、水晶体の前にある角膜の厚さを薄くすることで光の屈折を弱くし、焦点を網膜上で結ぶようにする手術だ。

 施術の流れは次の通り。まず、事前の検査が重要だ。専門の精密機器を使って、屈折度の検査、角膜形状の解析、角膜内膜細胞の撮影、眼圧検査など様々な検査・測定を約3時間かけて行う。

 検査によって手術の準備が整ったところで、いよいよ手術。角膜は、厚さ0.5~0.7ミリで、5層構造になっている。まず、マイクロケラトームという器具を使って角膜を切り、上の2層部分をめくる。これが「フラップ」と呼ばれるフタだ。

 このフタをめくって露出する3層目は、角膜の90%を占める実質層と呼ばれる層で、主にコラーゲン・タンパク質で構成されている。この露出した実質層にエキシマレーザーを照射し、屈折率を変えるのだ。それが終われば、めくった部分を元に戻す。

 自然治癒によって、2~3日で接着する。手術終了後は、15分程度休んで診察を受けてから、そのまま帰る。麻酔が切れることで異物感やヒリヒリすることがあるが、点眼薬で解消できる。視力は、手術を受けた直後から回復し始め、数日で目標の視力まで回復する。

危ない医者は選ばない

 この手術を受けられない人もいる。未成年、白内障や緑内障などの目の疾患がある人、そして、角膜の厚さが不十分な人だ。角膜をどの程度薄くするかは、近視の度合いによって異なる。度が強いほど薄くするわけだが、近視の度合いに対して角膜の厚さが不十分だと手術ができない。

 価格は、保険適用がされないが、20万円を切るところが多く、コンタクトを継続して使うことを考えれば、そう高くはない。

 もっとも気になるのは安全性だが、基本的には極めて安全な手術と言われている。手術によって失明に至ったケースはまずもって報告されていないが、大事なのはでたらめな医者にかからないこと。