前回、志村五郎さんに寄せて記した原稿は、思いがけず多くの読者に読んでいただけたようで、個人的に激励のメールなどもいただいたりした。深くお礼を申し上げたい。そこで前稿では触れなかった内容にも踏み込んで、続編を記したい。今回は最初に、読書案内から始めよう。志村さんの自伝的なエッセー集「記憶の切絵図」(筑摩書房)から。