これはミステリ小説ではない。実際に冷戦下のソ連(現ロシア)で起きた事件である。「死の山」という凡庸なタイトルでは、この事件の異常性は際立たないと私は思う。『死に山』という、目にした者が一瞬ひっかかりを覚える、このタイトルこそがふさわしい。