回路基板のような駐車場 中国

大型チョッピングセンターの駐車場〔AFPBB News

 韓国では車を買うときにその自動車を保管する場所を証明する必要がない。そのため、特定の駐車場がある車の割合(駐車率)は94%である。

 では、駐車場のない車はどこに止めるのか?

 それは、家の前や路地裏の道路、アパート団地内の駐車場以外のスペースなどである。

自分専用の駐車スペースはない

 戸建ての場合、市から1台分の駐車スペースを割り当ててもらえるが、それを超える場合は勝手に幹線道路でないところに止めている状態である。

 アパートの住人の場合は、駐車場代を台数分毎月払えば何台も止めることができる。

 だからといって自分の駐車場所が決まっているわけでもなく、空いた場所に詰めていく感じだ。

 そのため、夜遅く帰ってきた日には駐車スペースを探して延々と団地内をドライブすることもある。

 アパートにしても駐車場は限りがあり、アパートと関係ない人たちが止めないように駐車料を払っている住人には駐車場を利用できるステッカーを配布している。

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 ステッカーを張らずに団地内に駐車しておくと、法的拘束力はないが、かなり接着力の強い紙がフロントガラスに張られることがある。

 さて、今回そういう韓国の団地内の駐車事情に関連した事件を紹介しよう。国民の怒りを勃発させた事件でもあった。

 この一連の事件は、首都ソウルの近くにある都市、仁川の団地内で起こった。ことの顛末は次の通りだ。

駐車許可証を貼り忘れて大騒動に

 先月末、団地内の駐車場にステッカーを張っていない車があり、警備員はいつも通り「団地内の違反ステッカー」を強力な接着剤をつけてフロントガラスに貼っておいた。

 車種はトヨタ自動車の「プリウス」。車のオーナーは、朝出かけようと車に行くとフロントガラスに違反ステッカーが貼ってあった。

 自分は立派なこのアパートの住人であり、駐車ステッカーを貼り忘れただけなので、この仕打ちに怒った。

 違反ステッカーを貼ったのは誰だと警備員に聞いても誰も名乗り出ない。しかも強力な接着剤のため紙を外すことができず、ますます怒りのボルテージが上がった。

 そこで、何の仕返しのつもりかは意味不明だが、地下の駐車場(最近の団地は地上に駐車場を造らずほとんどが地下の駐車場になっている)の入口を自分の車で塞ぎ、そのまま立ち去った。

 さあ、大変。住人たちが駐車場へ入ることも出ることもできないようにしたものだから、団地では大騒ぎになった。

 住人たちは、この迷惑不法駐車のオーナーに連絡を取ってみたが、全く電話に出ない。

 そこで区役所や警察に連絡をしてみたが、警察は「アパートの団地内は私有地なので、強制的に他人の車両をレッカー移動することはできない」という。

怒り心頭の住民たちが取った行動とは

 6時間経った頃、とうとう住人たちはしびれを切らし、数人の人たちが集まって車を持ち上げ駐車場の入口から歩道に移した。

 住人たちは住人たちで怒り心頭に発しており、この車の持ち主が何食わぬ顔で車を持ち去られるのは癪に障る。

 そこで、その車がどこにも行けないように大きな鉢と境界石で囲み、さらにはホイールにロックをかけた。そして、その様子をSNSに投稿した。

 また、住人たちはそれぞれの思いを付箋に書いて車にべたべた貼った。

 その内容を見ると、「恥ずかしい大人にならないでください」とか「不法駐車NO!車をどかしてください」などなど。

 その甲斐もなく、監視カメラに映ったのはオーナーが後ろのトランクからゴルフバッグを取り出していく様子だった。

 さらに4日後には中古車のディーラーがやって来て、「その車を買ったので、ロックを外してほしい」と言ってきた。だが、住人たちの反対で結局ディーラーはそのまま帰った。

 さらに、住人たちの怒りに油を注ぐかのように、そのオーナーは某メディアのインタビューに応え、全く謝る気がないことを明かした。

韓国が抱える問題が明るみに

 連日ニュースの一コマになっていたこの事件は、結局オーナーの書面での謝罪と警察への出頭という結末となった。

 今回の罪名は一般交通妨害罪で10年以下の懲役または1500万ウォンの罰金である。

 今回この事件では、いくつかの韓国の問題点を浮上させた。

 まずは、私有地においての違法駐車には警察は役に立たないということ。

 韓国では火事の現場に消防車が駆けつけた時、不法駐車している車を破損したりして移動させた場合、賠償金を消防隊員のポケットマネーで支払わなければならなかった。

 だから、昨年末から消防関連法案を見直して、集合住宅の場合、別途の消防車専用エリア設置を法的に義務づけ、専用エリア内に車を駐車したり、進路をふさぐ妨害行為を禁止していた。

 そういうこともあって、実際には警察が法律上でも十分撤去可能なのに、積極的には対処しなかったと言える。

男女差別がさらに問題をこじらせる

 2番目に、男女差別だ。

 今回の不法駐車はアパートの住人に対して迷惑をかけたけれど、殺人を犯したり極悪非道な事件を犯したわけではなかった。

 それなのに、車のオーナーが50代の女性であることが明るみに出てから女性蔑視的な言い草の書き込みが多い。

 最近、韓国ではこれまでの男女差別に対して異議を唱える女性たちが多くなった。

 そういう面からみると、この事件が大げさに取り扱われるのに対しても女性たちが異議を唱える可能性がある。

 3番目は、アパートのような集合住宅では誰もがお互いを知らない状態だということだ。

 知り合いがいないからあんな身勝手な不法駐車ができるだろうし、彼女と連絡が取れないから住人たちは地団駄を踏んでいたわけだ。

 現在、彼女はまた違うメディアに取材され、「今回のことでは悪かったと思っている」と謝罪した。

 しかし、まだまだ彼女への攻撃は止まらない。

 今度は彼女が運営していた美容室のスタッフたちが給料をまともにもらえなかったとSNSに告発し、実際に告訴するとしている。