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イノベーション
2018.04.27

個人の力で消費を変える。止まらぬメルカリの快進撃
第4回日本ベンチャー大賞を受賞、メルカリの最新事情に迫る

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今年2月、経済産業省主催の第4回「日本ベンチャー大賞」で「日本ベンチャー大賞(内閣総理大臣賞)」を受賞したメルカリ。市場を牽引するフリマアプリ「メルカリ」をはじめ様々なCtoCサービスを打ち出し、国内外から注目を集め続ける国内有数のベンチャー企業だ。

2月26日に総理大臣官邸で行なわれた第4回日本ベンチャー大賞表彰式の様子 (写真は首相官邸ホームページ「総理の一日」より引用)[※1]

また、同日中に否定のコメントを発表している[※2]ものの、今月18日にはNHKニュースで「6月に上場予定」と報道されたことが話題を呼んだ。メルカリはこれまでにも何度か「上場予定」が報じられているが、その度に今回同様否定している。こうした“フライング報道”やそれに対する世間の反応を見ても、注目度の高さが伺えるところだ。

フリマアプリでのし上がってきた印象の強い「ユニコーン企業」メルカリだが、他にもいくつもの新サービスを次々に打ち出している。また、フリマアプリ自体も昨年末に一部の仕様が変更され、その変更内容[※3]から「上場の下準備では?」と囁かれたことも記憶に新しい。

今回は、もはや「メルカリ=若い女性が使うフリマアプリ」というかつての印象に留まらず、巨大なCtoCプラットフォームを構築しつつあるメルカリの最新事情を見ていこう。

[※1]平成30年2月26日 第4回日本ベンチャー大賞表彰式 | 平成30年 | 総理の一日 | 総理大臣 | 首相官邸ホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201802/26venture.html

[※2]本日の一部報道について | 株式会社メルカリ
https://about.mercari.com/press/news/article/20180418_notice/

[※3]フリマアプリ「メルカリ」仕様変更のお知らせ | 株式会社メルカリ
https://about.mercari.com/press/news/article/20171114_update/

メルカリグループの新サービス、最注目は「メルペイ」

まずは、昨年11月27日より「メルカリ」内で利用できるようになった“即時買取”サービス「メルカリNOW」。こちらは何かと話題になった「CASH」と比較されることが多い、というとイメージしやすいだろう。「メルカリ」アプリ内で売りたい商品のブランドと状態を選択し、スマートフォンのカメラで撮影するだけですぐに査定金額が提示される。了承すると、その場でメルカリの子会社であるソウゾウが商品を買い取ってくれるので、ユーザーは商品が売れるのを待たずして売上金を手に入れることができる仕組みだ。

ちなみに未成年でも保護者の同意を得れば利用できる「メルカリ」と違い、メルカリNOWは20歳以上でないと利用できない(年齢認証が必要)。

そしてシェアサイクルサービス「メルチャリ」。専用のスマートフォンアプリを使って街中に設置されたポートに置かれた自転車をいつでも好きな時にレンタル・返却できるサービスで、前出のソウゾウが手掛けている。いち早く同サービスが導入された福岡市のほか、今後東京都国立市でも実証実験が開始される予定だ。

加えて、今月25日よりサービス開始されたスキルシェアサービス「teacha」。フリマ感覚で、自身のスキルを活用した「レッスン」を必要な人へ売ることができる“学び”のCtoCサービスだ。既に「メルカリ」を利用していれば、同一アカウントで簡単に始められる。

既に「ストアカ」や「TIME TICKET」といった他社による類似サービスがある中で、teachaはどのように存在感を示していくのか。また、トラブルが発生しやすい“対面”式CtoCサービス(5月末での終了が発表された「メルカリアッテ」も対面型の取引仲介アプリだった)において、いかにして秩序ある運営を維持していくことができるのか、手腕が問われるところだ。

「teacha」アプリの利用イメージ(画像はプレスリリースより引用)

また、IoT Todayとしては昨年11月20日に金融関係の新規事業を行なう子会社「メルペイ」が設立されていることを取り上げておきたい。メルペイのミッションは「信用を創造して、なめらかな社会を創る」である[※4]という。金銭を扱う際はもちろん、CtoCサービスを成り立たせる肝となるのもまさしく“信用”に他ならない。

メルペイが提供するサービスの全容は明らかになっていないが、日経FinTechによれば2018年中にも、金融庁に仮想通貨交換業登録の申請を行なう予定であるという[※5]。今後、「メルカリ」内の決済手段の一つに仮想通貨が加わるわけだ。

仮想通貨というと、大きな流出事件が起こってからさほど日が経っていない。あれ以来、仮想通貨や「ブロックチェーン」という言葉はまだ信用できない、と考えている読者は少なくないだろう。それどころか「よく分からないけど、危なそうだから近寄らないでおこう」と考えている人も多いのではないだろうか。

さらに、事件以前から仮想通貨に注目し、積極的に運用してきたのはどちらかと言えばITリテラシーや先見性の高い、限られた層であったはずだ。そうした層と「メルカリ」の主なユーザー層は必ずしもイコールで結ぶことはできないだろう。

「メルカリ」に仮想通貨決済が導入されたとしても、即座にそちらへ移行するユーザーは多くないかもしれない。だが、幅広い層のユーザーから多くの“信用”を勝ち得てきた「メルカリ」内で使えるとあれば、仮想通貨に全く興味がない層にもアプローチできる可能性がある。

ユーザー間で「使ってみて便利だった」という口コミが広まれば、これまでそちら方面に無関心だった女性や若年層が一気に仮想通貨を使い始める未来もあり得るかもしれない。

フリマアプリに興味がなくとも、国内のお金の流れを変える可能性を秘めるメルペイの今後は注視しておく必要がありそうだ。

[※4]merpay | メルペイ
https://www.merpay.com/jp/

[※5]メルカリ、仮想通貨交換業登録を年内にも | 日経 xTECH(クロステック)
http://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/news/17/011002935/

農家がメルカリで野菜を販売する

ここまでメルカリグループの新たな取り組みを紹介してきたが、メインサービスであるフリマアプリ「メルカリ」も絶えず変化を続けている。

冒頭でも少し触れたが昨年末、初回出品時に本人情報登録が必須になる等の大幅な仕様変更が行なわれた。発表当時、安全性の確保と引き換えに「メルカリ」の“売り”でもあった手軽さや利便性を手放すことに対してユーザーから不満の声も上がっていたが、現状を見る限り特に致命傷にはならなかったようだ。

大多数のユーザーは「安全性が向上するのなら、多少操作が煩雑になっても仕方がない」と受け入れたのだろう。もちろん、他社サービスへ移行したいが結局はユーザー数(=商品数・購入者数)で勝る「メルカリ」以外に選択肢がない、というユーザーもいるだろうが。

そして、「メルカリ」最大の魅力はなんと言っても「需要があれば、どんな物でも“商品”になる」という、フリマアプリならではの特性にある。良くも悪くも、数々のユニークな“商品”が日々「メルカリ」に出品されていることは周知の事実だろう。

そんな中、最近では「メルカリ」を使って野菜を販売する農家も登場。作り過ぎてしまった分であったり、形が規格外で出荷できない「訳アリ」野菜を直接販売しているのだ。

野菜もフリマで買う時代?(画像はイメ―ジ)

農家側は自分たちでサイトを立ち上げたりする必要なく、本来売り物にならなかったはずの野菜を直接消費者へ届けることができる。買い手の方も、新鮮な野菜を手軽かつ安価に購入できる。野菜の新たな流通経路の一つとして、NHKのニュース番組でも取り上げられた。

同アプリで「野菜」と検索すると、個人が家庭菜園で収穫したであろう野菜も多数ヒットする。口に入るものをこうした形(CtoC)で購入することに抵抗を覚える人も少なくないだろうし、今後規制されることも考えられる。だが「メルカリ」が持つ可能性の底知れなさだけでなく、日本人の消費スタイルや意識が加速度的に変化していることを感じさせる一例であるように思う。

多くのユーザーと共に成長し続けてきたフリマアプリ「メルカリ」。利用者個人に委ねられる部分が大きい以上、今後ルールや規約が厳しくなっていくことは避けられないだろう。しかしそれでも「使いたい」と思わせるサービスを維持できたとしたら、メルカリは世界から「無駄な物」や「不要な物」という概念を消し去ることができるのかもしれない。

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