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テクノロジー
2017.10.19

いまさら聞けない「VRって、なに?」
あなたの職場、生活に近い将来やってくる「VR」とは結局何なのか

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2016年はVR元年と言われた。2017年も残り2ヵ月半程だが、読者の中で実際にVRを体験したことがある方はどれくらいいるだろうか。ふいに「VRという言葉の意味を教えて」と聞かれたとき、あなたはきちんと説明できるだろうか?

ごく一般的なビジネスパーソンの中には、漠然と「何かゴーグルをつける、ゲームのやつでしょう?」という認識に留まる方も、少なからずいるはずだ。

現状、VRがゲームをはじめとしたエンターテインメント分野で目立った活躍を見せているのは事実だが、決してそれだけではない。

本記事ではVR初心者の方向けに、最低限抑えておくべきポイントを解説していく。気軽に、知りたい部分だけ「つまみ食い」して頂ければ幸いだ。

VRってどんな技術なの? HMDって何?

そもそも、VRとは一体何なのか。英和辞典(※1)で「VR」と引くと、「virtual reality(バーチャル=リアリティ)」の略であると記載されている。
続いて百科事典(※2)で「バーチャルリアリティ」を引くと「コンピュータ・モデルとシミュレーション技術を用いて、コンピュータでつくられた三次元空間を視覚その他の感覚を通じ疑似体験できるようにしたもの。仮想現実と訳される」とある。

また、VRといえば大きなゴーグル、というイメージの方も多いだろう。そのゴーグルがいわゆる「HMD」と言われる物だ。

ちなみに同辞典(※2)で「HMD」は「スキーのゴーグルのように顔面に装着するディスプレイ。head mounted displayの略称。めがねのレンズ部分に小型の液晶やCRTが取り付けられ、左右それぞれの眼に映像を映し出すことで立体視を可能にしている」とされている。

まとめるとVRとは、HMDなどの専用デバイスを装着することで、コンピュータで作られた仮想空間の中にいるかのような体験ができる技術、というわけだ。

※1 ジーニアス英和辞典
※2 ブリタニカ国際大百科事典

結局、国内で普及しているの?

MM総研が今年1月17日に発表した「ARとVRに関する一般消費者の利用実態と市場規模調査」によると、VRの認知度は「よく知っている」が16.9%、「聞いたことがある程度」30.6%で、これに対し「聞いたことはない・知らない」が52.5%となり、VR認知度は47.5%。言葉自体は2人に1人が知っている結果となった。

MM総研の「ARとVRに関する一般消費者の利用実態と市場規模調査」より引用

さらに同調査結果では、VR HMDの所有状況についても発表されている。「所有している」が3.4%で「検討中」が8.0%、「持っていない」が88.5%。さらに「所有している」97人が所有しているVR HMDは安価な紙製の物が最も多く、次いでプラスチック製の簡易的なVR HMDが2位となっている。

また、今後の体験(購入)意向については「体験したい(購入したい)」が30.2%となっている。9割以上がVRを経験したことがないと回答している先の調査結果と併せてみると、VRはまだまだ普及しているとはいえないが、体験・購入意向は高いと言えるだろう。

MM総研が発表している「ARとVRに関する一般消費者の利用実態と市場規模調査」より引用

ちなみにこの調査が行われたのは2016年11月。タイミングとしては、2016年10月13日にソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)によって発売されたPlayStation VR(以下、PSVR)の発売直後だ。

家庭用のVR HMDというと、まずPSVRを思い浮かべる方も多いのではないだろうか。発売直後から品薄が続き、度々量販店前に購入希望者の列が作られていたことも記憶に新しい。
実際、従来のPCに繋げて使うハイエンドなHMDは一般ユーザーにとって敷居が高かったため、家庭用のハイエンドVR HMDとして最も普及しているのはPSVRだろう。

とはいえ、PSVRはあくまでもPlayStation 4(以下、PS4)の周辺機器であり、それ単体で動作するものではない。PS4を持っていれば、約5万円の追加投資でVR体験ができるようになるが、そうでない状態からPSVRを使える環境にするには、10万円弱の投資が必要となる。
多くの一般ユーザーにとって、未知の体験にポンと払える金額ではないだろう。

さらに世界的に見ると、PS4は2017年度中に販売台数累計7800万台に達すると言われる(※3)大ヒットハードだが、一方で日本国内での販売台数は7月26日時点で500万台(メディアクリエイトの集計による)と、世界累計の10%にも達していない。

PSVRを買う上で大前提のPS4が、国内ユーザーにとっては海外ユーザーほど身近な存在ではないのだ。

そういった事情や前述の調査結果を見るにつけて、日本国内では家庭用のVRはゲーム機からよりも、スマホを装着するタイプの比較的安価なHMDから普及していくのでないかと予測できる。
言い換えれば、これから家庭用VR HMDの購入を考えている方も、ゲーム機一式買い揃えなくてはいけないのか……と身構える必要はない。
ゲームをしないのであれば、安価な簡易型HMDや、こちらも価格が下がってきているミドルレンジ型のHMDで十分だ。

さて、それでは実際にVR技術を使うと何ができるのか、ユニークな事例を交えて紹介していこう。

※3 10月3日に発表された、共同通信によるSIE会長アンドリュー・ハウスへのインタビューより。

VRってゲーム以外に何ができるの?

VRはゲームや映像コンテンツといったエンタメ分野や、広告やプロモーション以外でも様々な分野に取り入れられている。

例えば旅行や環境、自動車産業やファッション、不動産業界やブライダルなど、VRを導入して実務に利用している業界は多岐にわたる。

ここでは医療、介護業界とスポーツ業界での事例を数点紹介していこう。

まずは医療や介護の現場。

の教育やメンタルへルスの治療現場などでVRが用いられている。
例えば後進のため、熟練の医師が行う手術の様子をVR動画に記録したり、それを使って若手医師のトレーニングを行なったりといった教育分野にもVRが導入され始めている。

またイギリスでは、発達障害の子どもに対して行なわれる治療の一つにVRが用いられているという。この治療は英国国民保険サービスによって提供されている。場合によっては「状況を想像する」ことが難しい発達障害の子どもであっても、VRで現実さながらの疑似体験を繰り返せば、その時々の対応方法を学ぶことができる。特定の条件下で引き起こされる不安や恐怖を克服していくことも可能だ。

そして介護。
シルバーウッドが行っている「VR認知症プロジェクト」では、VRを使って実際に認知症患者の感覚の一端を体験することができる。

VR認知症体験会

 

VR認知症サンプル

想像力では補えない部分、当事者以外には分からないと思われていた体験を第三者に共有できるというのは、多くの分野で相当な強みとなるだろう。こと医療や介護分野においては、認知症や自閉症など、特殊と思われていた症状を多くの人が体験して共通の「自分事」にすることができれば、治療や介護の際に役立つだけでなく、特定の病気や症状に対する差別や偏見をなくすことにもつながるはず。

VRで可能になるのは、単なる「よくできたエンターテインメント」だけではないのだ。

特に今注目したいのがスポーツ

スポーツの分野とVRとの相性の良さは以前より注目されており、スポーツ観戦とスポーツ選手のトレーニング、両面でVRの有用性が確認されている。

たとえば野球。

横浜DeNAベイスターズは2017年3月1日、アメリカのベンチャー企業であるEON Sports社が開発したVRを用いたトレーニングシステム「iCube(アイキューブ)」を2017年シーズンから導入したと発表している。

加えて東北楽天ゴールデンイーグルスも2017年シーズンよりNTTデータが開発したプロ野球選手向けのVRトレーニングシステムの本格利用を開始している。

横浜DeNAベイスターズはファンサービスの一環としてもVRを積極的に取り入れており、下記のような360°動画も公開している。

【360BAYSTARS】#11 選手のベンチ飛出しシーン

スポーツを特に取り上げたのは、2020年に東京オリンピックを控えているからだ。

今年6月21日にニューヨークで開かれた記者会見で、アメリカの半導体大手のインテルが国際オリンピック委員会(IOC)と最高位のスポンサー契約を結び、2024年までに開催する五輪の夏季・冬季大会を技術面で支援することを発表した。インテルはまず2018年の平昌冬季五輪でVRを使ったリアルタイム中継を試みるとしており、2020年の東京オリンピックにも大いに期待がかかっているのだ。

2016年のリオデジャネイロ五輪でも一部VR配信が行われていたが、地域も競技もごく限られていた。
しかし2020年は次世代通信規格である「5G」が実用化されると言われる年でもある。5Gが実用化されれば、より大容量のデータがより高速にやりとりできるようになる。より高画質なVR映像を配信することも可能になるだろう。

以上のことから、東京オリンピックではより多くの競技・多くの国・多くのHMDに対応したVR中継が行われるとされており、今から注目が集まっているのだ。普段あまりスポーツに関心がない方も、テレビ前での観戦とは全く違った体験に、思わず白熱してしまうかもしれない。
もしかすると、2020年は一般ユーザーにも一気にVRが広まる、二度目の「VR元年」となるかもしれない。今から意識しておこう。

手っ取り早く体験するには?

ざっとVRの実情をお伝えしてきたが、結局体験しないと何とも言えない、という部分も大きいだろう。

コストをさほどかけずにハイクオリティなVR体験をしようと思った場合、最も手っ取り早いのはVR設備を備えるエンターテインメント施設に出向くことだろう。

とはいえ、わざわざVRのために週末テーマパークに出かけていくのも……と躊躇してしまうという方は、スマートフォンをセットして使う簡易HMDがおすすめだ。Amazonなどの通販サイトでも紙製なら数百円、もう少し耐久性の高い物でも千円台から手に入れることができる。

簡易HMDのイメージ

普及の項で述べた通り、国内の一般ユーザーにとってVRはまだまだ目新しい技術。現段階でHMDを所有していなくとも「時代遅れ」のレッテルを貼られることはないだろうが、今後の普及に備えて注目しておきたい技術の一つではある。

体験することで、ご自分のビジネスに活かすことができるかもしれない。普及しきっていない今だからこそ思いつくアイデアもあるはずだ。

これまで「子どもやゲームユーザーのためのもの」とVRに対してとっつき辛さを感じていた方も、この機会に一度体験してみてはいかがだろう。

 

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