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イノベーション
2017.10.07

50万円が数千万円に。投資家に聞くビットコインの現状
分裂騒動で見えてきた仮想通貨が抱えるリスクと普及に必要な条件

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インターネット上で誕生し、世界的に普及していった仮想通貨「ビットコイン」。円やドルなどの既存の通貨とは異なり、国境がなく世界中どこでも使える新時代の通貨として、今大きな注目を集めている。

需要が高まる反面、システムが不完全なこともあり、国ごとに対策が取られている。中国では、3大取引所の一つで上海市に拠点を置く「ビットコイン中国」が、9月末で取引を全面停止することを発表した。中国国内の金融当局が、仮想通貨への取り締まりを強化したことが理由とされている。今後、ほかの取引所も停止していく見込みだ。

一方、日本の各企業はビットコイン決済の導入を着々と進めている。今年7月に、いち早くビットコイン決済を導入した家電量販店のビックカメラ。9月23日からは旅行代理店のエイチ・アイ・エスがビットコイン決済サービスの導入をスタートさせた。このほか、全国の小売店や商業施設など、ビットコイン決済ができる店は増え続けている。

「儲かる投資商品」「決済が便利になる」というプラスの面と、「不安定な値動き」「怪しい」というマイナスの面が、表裏一体のように感じられるビットコイン。現場ではこの状況をどのように見ているのか、webサイト「仮想通貨投資入門」の運営者であり、投資家の山岡氏に話を聞いた。

ビットコインを支えるブロックチェーンの存在

「予測不能の値動きやトラブルを敬遠して、ビットコインに手が出せない状態でいるという人は少なくありません。ビットコイン価格の相場は常に揺れ動いています。今のところ、状況にまだ変化の兆しは見られません」

価値が変わり続ける通貨ーー。それは、ビットコインが誕生したばかりの未成熟な通貨であることを意味している。生みの親であるSatoshi Nakamotoがビットコインに関する論文を発表したのが、2008年10月31日のこと。論文を評価した人物たちによりブラッシュアップを重ね、2009年1月9日に、バージョン0.1がリリースされ、誰もがビットコインの取引きに参加できるようになった。

「これだけの短期間のうちにビットコインシステムが構築されたのは、それだけ仮想通貨に需要があったからだと考えられます。仮想通貨の利便性を支持する人や自国の通貨よりも安全だと思う人、値上がりに期待を抱く投資家が世界中にいたということです」(山岡氏)

しかし、2010年にはシステムの脆弱性が狙われ、1840億BTC(BTCはビットコインの単位)が偽造されるという事件が発生。その後も、ハッキング被害やビットコインの盗難など、数々のトラブルに見舞われた。しかし、ビットコインは衰退することなく、年々取引金額を増やし続けてきた。

「なぜ廃れることがなかったのかというと、ビットコインを支えるシステム、『ブロックチェーン』の存在があったためです。ブロックチェーンとは、簡単にいうと低コストで非常に高セキュリティな記録保存技術です。ブロックチェーンに残された記録は、書き換えや改ざんされる恐れがなく、半永久的に残されます。これまでたくさんのトラブルが起きましたが、それらはあくまでビットコインの取引所や、投資家間で起きた問題です。ビットコインそのものの信頼性にはまったく関係していないので、それを理解している投資家などの利用者たちが、変わらず支持し続けてきました」

山岡氏自身、このブロックチェーンの概念に期待を抱き、2015年からビットコインでの積み立て投資を開始した。読みは当たり、資産価値は年々上昇。50万円から始めた投資が今や数千万の資産価値を持つようになった。山岡氏のように、ビットコインの信頼性を理解した投資家たちが、見事、巨額の富を得たのだ。

ビットコインの分裂はどのような影響を及ぼしたのか

ビットコイン史上、最も大きなトラブルともいえる「ビットコイン分裂騒動」についても山岡氏に聞いた。

2017年8月1日より、既存のビットコインとは別に、新通貨「ビットコインキャッシュ」が誕生。ビットコインが2つに分裂するという異例の事態に、世界中が注目した。この分裂騒動の発端についても、様々な場所で解説されているが、要約すると「ビットコインの処理能力の拡張法をめぐり、2つの勢力に分かれた」というのが真相だという。

「ビットコインを使う人が多くなってきたことで、送金スピードが落ち始めるようになりました。今までは一瞬で送金できていたのが、1~2日かかったりしたんですね。その解決策をどうするかで揉めて、分裂騒動へと発展しました」

紆余曲折を経て分裂したものの、結局、8~9割の利用者は、元々のビットコインに残る形になった。これは、利用者が新規のソフトウエアでの取引を敬遠したためだろうと考えられている。そのせいか、分裂騒動後も大きな影響はなかったという。

「あくまで私個人の実感ではありますが、思ったほど価格が暴落することはありませんでした。多少の波こそあったものの、今現在すでに落ち着いている状態です。分裂前に慌ててビットコインを売った人もいましたが、正直その必要もなかったくらいだと思います」

このように語る山岡氏だが、今後、分裂による影響が出てくる可能性は否定できないと続ける。

「例えば、分裂した今も、完全に問題が解決したとはいえない状況です。今のビットコインがまた分裂する可能性もあります。また、今後ビットコインキャッシュや別の仮想通貨が普及する可能性もあります。なにが正解かはまだわからないとして言いようがありません」

仮想通貨法の成立で何が変わるのか?

ビットコインをめぐっては様々な問題が生じたことは前述したとおりだが、なかでも2014年のマウント・ゴックスのビットコイン消失事件は、印象に残っているという人も多いだろう。

ビットコインの取引所であるマウント・ゴックスが、投資家から集めたビットコインを不正に利用したという事件であり、この報道がきっかけで日本人の多くが「ビットコイン=怪しい」と思うようになった。

そのため、日本では仮想通貨に対し、法的に取り締まることを決めた。それが、2017年4月1日に施行された「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案」。いわゆる、仮想通貨法だ。

この法律によって、内閣総理大臣の登録なしには、仮想通貨の取引業を行えなくなったのだ。無認可の取引事業者が淘汰されることにより、安心してビットコインを利用できるようになったわけだ。

皮肉なことにマウント・ゴックスの事件によって、日本の仮想通貨の推進スピードは早まることになった。不安定に見えるビットコインが日本で普及しているのには、こうした背景があったのだ。ビットコイン及び仮想通貨を取り巻く状況のこれからを山岡氏はこう分析する。

「ビットコインの約9割は、投資目的として使われています。法整備によって、大手企業やFX会社などが参入しやすくなるので、投資目的での利用はますますやりやすくなると思います。また、決済用に使用できる場所も徐々にですが増えていくのではと思っています。今後、ビットコインを含め様々な仮想通貨が巷で知られる日が来ることでしょう。その際にビットコインの概念を知っておくことは仮想通貨の基礎を知る上で重要なので、投資に興味がなくとも、ビットコインのことを勉強し、少額を持っておいて値動きを観察することは意味のあることだと思います」

最先端の技術が詰まった通貨とも言われるビットコイン。特にブロックチェーンの仕組みは、通貨以外にも応用できるシステムであるため、今後どのように発展していくかが楽しみだ。

JBPRESS

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