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イノベーション
2017.09.26

2兆円市場に乗り遅れた日本のドローン産業に勝機は?
ドローン・ジャパン取締役会長に聞いた“日本が世界に勝つために必要なこと”

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さまざまな分野でドローン活用の拡大が期待されており、MM総研が2017年1月に発表した「ドローン国内市場規模調査」によれば、2021年度における国内のドローン市場規模は1,676億円に拡大すると見込まれている。

また、矢野経済研究所が行なったドローン世界市場の調査によれば、2020年には世界のドローン市場は2兆2,814億円まで拡大すると予測している。

国内外で市場規模の拡大が見込まれているが、ドローンと聞いてまず思い浮かぶのが世界シェア7割とも言われている中国の「DJI」や、フランスの「Parrot」アメリカの「3D Robotics」などではないだろうか。それらと比べると一般の消費者が日本製のドローンを目にする機会はほとんどない。

ドローン世界市場規模予測(矢野経済研究所推計)より抜粋

これだけの市場規模拡大が見込まれるドローン市場で、日本が世界に対して存在感を示すために必要なのは何か。ドローン・ジャパン取締役会長の春原久徳氏(以下、春原氏)に話を伺った。

日本におけるドローンが世界に出遅れている理由

先述のように、消費者が国産ドローンを見かけることは多くない。「かつてはDJI製品も部品の半数以上は日本製を使っていましたが、今となってはほとんどが自国の物を使っています。日本製の部品が海外製のドローンに使われているとしてもほんの数パーセントほどでしょう。」と春原氏が言うように部品単位でも世界から必要とされていない。

「DJIの代表作Phantomシリーズも『Phantom2』くらいまでは全くと言っていいほど、(ドローンとして)使えなかったんです。しかし、改善を行なっていくことで『Phantom3』くらいから素晴らしい製品になりました。」と春原氏。

ドローン・ジャパン取締役会長・春原久徳氏

日本で製品を作るとなった場合、ドローンに限らず完成度の高い製品を作り出すことに重きを置くことが多い。しかし移り変わりの早いこの時代では、オーバースペックとも言えるような“いずれ使える物”よりも最低限の性能を備えた“明日使える物”を作ることが求められるため、日本の慣習とは合っていないようだ。

また出荷量を考えた場合、PCが1,000万台出ているとしたら、日本のドローンはよくても8〜9万台しか出ていないというスケール感。売上台数をそれほど多くは見込めない。

国産ドローンを作ろうとしても、これらが障壁となるため、ハード産業としてのドローンビジネスで活路を見出すのは難しいだろう。

課題先進国である日本におけるドローンビジネスの可能性

ドローンは大きく分けて荷物を運ぶような作業型と、情報取得型の2つの用途に分けられるが、70〜80%が後者だという。「Drone as a Service(ドローン・アズ・ア・サービス=DaaS )」と呼ばれる、ドローンを使った検査やモニタリング、あるいはマッピングや測量などB2B分野での活用が進んでいる。

「ドローンは一つの手段であって、ドローンを取り巻く周辺サービスを含めたビジネスが世界では主流となっています。農業、土木建設、検査点検、災害調査など、主に地方における課題解決の手段として活用されています」と春原氏。

少子高齢化によって人手不足が囁かれている日本において、農業などの一次産業や道路などのインフラ点検を行なう際に、ドローンを使ったサービスとの親和性は高い。

ドローンから農地や農作物のデジタル情報を収集できるようになれば、農業従事者が追肥する量や収穫の適性期を判断できるようになるなど、科学的に生産性を高められる。

また、インフラ点検を行なう際は、人間がすぐに行けない場所や、作業が難しい場所でも撮影などの目的を果たせる。ドローンを導入することで実際の作業を減らすことができれば、人手不足という課題の解決につながり、ビジネスとしても大きなインパクトを期待することができる。

日本が抱えている課題解決のために行なわれているドローンサービス。これらの知見を活かすことができれば、世界に対しても通用するサービスになるのではないだろうか。

ドローンを取り巻くサービスでは4つのシステムと設計がポイント

ドローンを使ったサービスを考える上で重要なのは「ドローンをただ飛行させるだけではなく、より業務に適した利用をするためにドローン技術全体をしっかりとシステムで捉え、それらをフレームとしてビジネスに落とし込む設計がポイントです」と春原氏は話す。この設計がうまくできれば、日本の課題解決のみならず、世界でもインパクトを与えることができるという。ドローンを形成するシステムとは、大きく分けて以下の4つだ。

1.フライトコントローラー
ドローンを“自律”させるためのもの。加速度センサー、GPS、気圧センサーなどのセンサーを搭載しており、これらが正確な機体制御を行なえるようにしている。

2.コンパニオンコンピューティング
画像解析による衝突回避や他ドローンとの群制御といった用途で開発が進んでいる。この分野では人工知能(AI)が活用されていくことで、ドローン自らが判断し、目的に応じて航行していくことが可能となる。

3.アプリケーション
操作用のアプリケーション、テレメトリーと呼ばれる機体からの情報収集用アプリケーション、自動航行用のソフトウェアなどの開発が進んでいる。空から収集したデータを解析したり、クラウドにアップロードするためのツールなども作られおり、今後は飛行ログの解析なども重要なツールとなってくる。

4.クラウド
ドローンで取得したデータの処理や解析を行なうサービス-ドローンの空撮映像を3Dマッピング化するといったデータ加工サービス、ドローンで撮った画像・動画を共有するなどのサービスがある。また、ドローンの機体や運用データを管理するサービスも現れ始めている。携帯電話に使われる通信SIMがドローンに搭載可能となれば、よりリアルタイムに機体を管理したり、遠隔地の画像や映像を送るようなサービスも期待できる。

ドローンの業務利用が進んでいく中で、より安全性が高く、正確な業務を行ないやすいシステムの構築が必要となってくる。その際に重要なのは“ユーザーが求めているものが何なのか”を考え、それに合った改良ポイントが上記の4つのシステムのどこに該当するかを考えながら、設計を行なうことが大事だという。

設計を行なう際は、通信の安定性やスピードと言った技術動向に加え、電波法といった各種法律の動向にもアンテナを立てておくことも重要だ。どのシステムにどんな仕事をさせるかという設計をうまく行なうことができるかが今後のドローンビジネスで世界に存在感を示すことができるか否かの鍵を握っている。

JBPRESS

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