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イノベーション
2017.08.08

シンギュラリティの先にあるものは
IoT Today編集部おすすめの技術革新トレンドを掴む書籍3冊

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21世紀に入り、技術革新のスピードは日々増すばかりだ。AIやロボットが発展し、いよいよ“シンギュラリティ”が近づいているとする人も。

そんな進歩の早い業界トレンドをいち早くつかむために、参考になりそうな書籍を編集部がピックアップ。長期休暇にぜひ手にとって、自分をアップデートしてみてはいかがだろう。

『エコノミスト』誌が予測する30年後の技術革新とは

2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する
著:英『エコノミスト』編集部/訳:土方奈美
出版社:文藝春秋社
ISBN 9784163906409

 

 

本書のタイトルにある“2050年”は、2017年から数えて33年後の世界ということになる。33年という月日がどれくらいの長さかというと、1984年(2017年の33年前)には、“エリマキトカゲ”が流行し、“グリコ森永事件”が発生した年である。

パソコンの歴史でいえば、Appleから元祖Macintoshが、IBMから後の世界標準となるPC/ATが発表された。この時、MicrosoftのWindowsはまだ存在せず、IBMのPC/AT用に開発されたOSのMS-DOS Ver.3.1が発売されている。まだ一般的なインターネットはおろか、パソコン通信すら普及していない時代である。

1984年当時、現在のようにモバイル端末でインターネットに概ねいつでもどこでもつながることができる世界など、どれほどの人が想像できたであろうか。

本書ではそうした年月を超えて、今から33年後のテクノロジーがどこまで進むのか、世界的な影響力が大きいとされる英国の週刊新聞『エコノミスト』の編集部が大胆に予測した書籍。様々な事象・事例を挙げながら、決して奇想天外な妄想ではない、起こりうる可能性としての未来のテクノロジーの姿について触れられている。

本書では、テクノロジーの未来を予測するには、「過去のパターン」「限界的事例(エッッジケース)」「SFが描く想像上の未来」という3つのツールが有効であるという。これらのツールを「バーチャル・リアリティ(VR)」「自動運転車」「民間宇宙飛行」「遺伝子編集」という4つの分野に適用したところ、17世紀半ばの科学革命時代にも似た、新たな発見にあふれる未来であることがわかったという。

そうして得られた予測について、大きく以下のような三部に分けて解説されている。

「第一部 制約と可能性」
モバイル端末やAI、宇宙エレベーターや神経インターフェース(脳への直接入出力)など、現在の制約を乗り越えてテクノロジーが発展していく可能性について

「第二部 産業と生活」
食料やエネルギー、車、住宅、戦争など、人々の生活を取り巻く環境を変えていくテクノロジーについて

「第三部 社会と経済」
人工知能(AI)との付き合い方、教育格差、働き方など社会や経済を変えていくテクノロジーについて

テクノロジーの進歩は急に湧き出るようにして起こるものではなく、必ず「懐胎期間」があるのだという。それが驚くほど長いがために、急に登場したように見えるのだ。そのため、正しい場所に目を向ければ、新たなトレンドの端緒を見い出すことができるという。

大手新聞社がトレンドを予測するためにどのような考え方で世の中の動向を見ているのか。“未来のテクノロジー予測”というテーマを通して、ジャーナリストの世界の見方も知ることができる、一冊で二度美味しい書籍と言えるだろう。

“ネットの次”を生み出したいイノベーターに贈る1冊

<インターネット>の次に来るもの 未来を決める12の法則
著:ケヴィン・ケリー/訳:服部桂
出版社:NHK出版
ISBN 9784140817049

 

インターネット黎明期から約30年。モバイルと融合したシステムは現代社会に必要不可欠な物となった。サービスの一つひとつを見れば新しく生まれてきたものがあり、淘汰されていったものもある。その歴史が培ってきたものがこれからのプラットフォームになり、様々なイノベーションを生んでいく。本書は、いまがまさに、そのスタート地点であると強調する。

『WIRED』誌の創刊編集者だったケヴィン・ケリーによる執筆。黎明期当初はインターネットが超多チャンネルになると予測し、Wikipediaのようにアマチュアが書く百科事典は成立しないと思っていたという。そんなケヴィン氏自身がある種の失敗談を交え、テクノロジーの未来を予測する難しさや、AI(人工知能)、ロボットなどのトレンドに触れつつ、今後30年で避ける事のできないテクノロジーの大きな流れを考察する作品となっている。

本書は以下の12のテーマで構成されており、それぞれで核となるテクノロジーの事例を挙げているのが特徴だ。

1. BECOMING
2. COGNIFINING
3. FLOWING
4. SCREENING
5. ACCESSING
6. SHARING
7. FILTERING
8. REMIXING
9. INTERACTING
10. TRACKING
11. QUESTIONING
12. BEGINING

例えば「2.COGNIFINING」では、IBMのWatson(ワトソン)の前身にあたるマシン・ディープブルーとチェスの世界チャンピオンの対戦を例に人間対マシンの歴史に触れている。また「5.ACCESSING」では、アマゾンの電子書籍サービスKindle(キンドル)を例に、人々の消費行動が“所有権の購入”から“アクセス権の定額利用”へと転換されつつあることについて述べている。

今後30年の中で起こるイノベーションは、本書に記載されている12のテーマで語られているトピックから進化し、生まれてくるのではないだろうか。

ケヴィン氏は本書の中で「最高に格好いいものはまだ発明されていない」と述べている。本書は、その“最高に格好いいもの”を発明するための基礎作りにもなるだろう。プラットフォームが揃い、誰もが同じスタートラインに立っている現在。をヒントに、“インターネットの次に来るもの”を創り出すイノベーターが誕生することを期待したい。

21世紀を勝ち抜きたいビジネスマンのバイブル

9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために
著:伊藤穰一、ジェフ・ ハウ/訳:山形浩生
出版社:早川書房
ISBN 9784152096975

 

以前「AI時代に「何もしない」取り残される日本の危機」でも取り上げた、平成28年の総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」によると、米国の就労者はAIの普及にそなえ、AI導入への対応・準備を重視する姿勢がうかがえる一方、日本の就労者は「対応・準備については特になにも行わない」という人が過半数を超えるという結果が出ている。

このようなデータから見えてくるのは、グローバリゼーションと技術革新が世界中で進む中、日本人の多くが時代の潮流に乗れずただ立ちすくんでいる状況だ。

第4次産業革命下において、人間の仕事の多くがAIやロボットに代替される時代が目前まで迫っている今、ビジネスで求められるのは、高いスキルはもちろんのこと、自由な創造力や多様性などの、人間だからこそ持ち得ている部分を研ぎ澄ませていくことだ。

本書は、日本人で初めてMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボ所長に就任した伊藤穣一氏が著者の一人として、めまぐるしく変化する現代を生き抜くための、「9つの原理(ナイン・プリンシプルズ)」を紹介する“21世紀”という時代のユーザーズマニュアルだ。

本著の構成はタイトル通り、9つに分かれている。

1. 権威より創発
2. プッシュよりプル
3. 地図よりコンパス
4. 安全よりリスク
5. 従うより不服従
6. 理論より実践
7. 能力より多様性
8. 強さより回復力
9. モノよりシステム

「1. 権威より創発」の中で、

"「漸進的な進歩しかできない権威主義的なシステムと違い、創発システムは、ネットワーク時代を特徴づける球速な変化に素早く対応できる、非線形イノベーションを育む」"

と記されている。権威を持つ人々が保守的な手順で仕事を進めた結果、技術革新の波に乗り遅れた日本企業の多くは、今まさにこの問題に直面しているのではないだろうか。

激動の変化が起こる時代において、本著はまさに「9つの原理」というタイトルの通り、人々が漠然と感じていたものを明確に示してくれた本である。これから先、ビジネス上での判断を求められる場面に効果的な指針を与えてくれる、21世紀型ビジネスマンのバイブルとなってくれそうな1冊だ。

JBPRESS

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