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テクノロジー
2017.02.02

innovators 情熱のカラクリ 第5回:ウイングアーク1st 島澤 甲氏
会社も家も実験場。IoTで全てを可視化するイノベーター

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子どものころから秘密基地に憧れたという、ウイングアーク
1st
執行役員 BI技術本部本部長 島澤甲氏。
自室はまるで近未来の研究施設のようだ

「小学生の時に、ゴミ捨て場から様々な機器を見つけては持ち帰り、解体しては楽しんでいました」と話すのは「ウイングアーク1st」執行役員BI技術本部本部長の島澤甲氏(以下、島澤氏)だ。「NECのPC-9801とかも捨ててあって、ディスクドライブを解体したり……スピンドルモーターを見た時は、その美しさに宝物を見つけた思いでしたよ」

そんな島澤氏は、自分で実践して確証を得たものを顧客に提案したいと語る。そのために、会社にとどまらず自宅を実験の場としてIoTの可能性を探っている。その内容がすさまじいので、ご紹介していこう。

家族全員の位置情報はいつでも社内で公開中

「まあ、ちょっとこれを見てください」

島澤氏は、ブラウザーを操作して地図を表示する。そこには、軌跡のある赤いピンがウイングアーク1stのある渋谷のインフォスタワーを指している。

「これ、今の私の場所です」

地図の表示範囲を拡げていくと赤い軌跡の先がどんどん見えてくる。

「家まで続いています。私の行動を、すべて可視化しているんです」

島澤氏が実験ツールとして活用しているウイングアーク1stの「MotionBoard」は、IoTデータの可視化やリアルタイムモニタリングを実現させるBIツール。位置情報や現在の状況をすぐに可視化しIoT活用も叶えるMotionBoardによって、自分自身はもちろん自宅、さらには家族まで可視化したデモを行っている。

「もともとは私だけ可視化していたんですけど、自分の情報ばかりが妻に把握されているのは、夫婦関係上不公平だと言ったところ、意外とあっさりOKしてもらえました」

情報は奥様ばかりではない。子ども達のデータも可視化している。実際に見せてもらうと平日の昼間である今は、学校にいるようだ。

「慣れてくるといちいち相手の居場所を聞かなくてもいいので、すごく便利ですよ。まぁ、BIツールのデモとして行っているので、僕を含めて家族全員の位置情報は常に会社に共有されているんですけどね(笑)」

先日会社で社員の家族が集うファミリーディがあったそうだが、そのときは島澤家のピンが、渋谷に集結。「妻は社員たちに『初対面ですがいつも居場所は把握しています』と挨拶されていました」と笑う。

自宅がIoTの実験場となっていることについて家族の評価はどうかというと、「若干諦めの境地かもしれませんが、いつも手伝ってくれます」とのこと。ここまで身体を張ったデモに対し夫人の貢献度はかなり大きい模様だ。

洗車嫌いだからこそ誕生したIoT自動洗車機

「これは自宅の駐車場のリアルタイム映像です」

島澤氏がブラウザーに映し出したのは、MotionBoardで制御されたIoT自動洗車機の操作画面と、設置している駐車場の映像だ。

「きっかけはドイツに本社を置く製造企業SICK社から『何か面白いものつくってよ』と、2Dレーザースキャナーが提供されたことでした」

以前からMotionBoardの限界に挑戦したいと考えた島澤氏は、スキャナーを提供されたことによりMotionBoardと2Dレーザースキャナー、この2つの機能を活用して自宅の駐車場に手造りIoT自動洗車機を導入する。

「なぜ洗車機かというと、最初のきっかけは私の洗車嫌いが理由です。洗うのって面倒だし、最後に拭き上げなきゃいけないのが最悪だと思っていたんです。それなのに、妻の趣味で購入した自家用車のカラーは汚れの目立つ黒でした」

洗車は嫌いだけど汚れが気になってしまうという島澤氏。その悩みを解消するためIoT自動洗車機に着手するより以前に、水道水をイオン交換樹脂で純水に再処理して、それを高圧洗浄機で洗車するという洗車装置を作っていた。必要は発明の母なり、と言うがまさにそれだ。

「純水だと拭き上げいらずのピカピカな状態になるので、庭のスペースを占領することを除けば、我が家の生活を変えてくれた自分的には満足のいく発明でした。それをさらにバージョンアップさせたのが、このIoT自動洗車機です」

実際に画面上から洗車機を動かしてもらうと、2Dレーザースキャナーが自動車の形状をセンシング。駐車場に設置したカメラで周辺に人がいないかを確認し、MotionBoardで制御することで自動車の形状に合わせ、上下左右に水噴射ノズルが動いていく。

製作期間は2016年の夏から秋にかけての2か月間。すべて自宅作業なので商用CADがあるわけもなく、3Dモデリングツール、3Dプリンターなどを活用してパーツを切り出していくという本気のDIY。会社の仲間に手伝ってもらいながらも、機械や配線の組み込みは全て島澤氏1人で行ったという。

「途中、炎天下で心が折れそうになったり、テスト運転中に部品が車体に落下して、板金修理に7万円かかるなんてハプニングもありました。いろいろと苦労はしましたが周囲の協力や、成果を出したいという部分が強いモチベーションになり、無事に完成することができました」

BIのデモンストレーションの場でもあるという島澤家のIoT自動洗車機。なんとウイングアーク1stの社員は誰でも遠隔で操作できるのだという。

「以前は誤作動なのか会社の誰かが触ったのか、気が付くと洗車されている時があったので、さすがに最近は制御盤をロックしてます(笑)」

次に目指すのは生活になじんだIoT

このほかにも夫人に車を運転してもらい、リアルタイムでアクセルの踏み方を可視化。さらにカメラを助手席視点になるよう設置したことで、見ている側は夫人とバーチャルドライブをしている感覚を味わえるというユニークなデモも行ったという。

「やりたいことは常にたくさんあります。それこそ普段考えている中からどれを選ぼうかという感じですね。たまに痛い目をみることもありますが、まずはなんでもやってみようというスタンスです」。

「次にやってみたいのは、もう少し身近なネタ」という島澤氏。まだ何をするか決まってはいないが、生活になじんだIoTで、存在を意識しないのに家の中が何だか快適という仕掛けを作ってみたいとのことだ。

新しいことに挑戦し続ける、島澤氏の高いモチベーションの根底にはクライアントに対し、自分で実践し確信を得たものを提案したいという思いがある。

ものすごいスピードで広がっていくIoTの領域において、提案する側が自分たちで実践できてないことを、クライアントに対して何だかそれっぽく語っている光景が良く見られるという島澤氏。

「私自身はもちろん、ウイングアーク1stでは、具体的なアクションが判断できる状況を提供することを使命にしています。顧客から“やって良かった”といわれるところまで一緒にやりきっていきたいですね。“新しいものはなんでも楽しい。御託を並べないで、まずはやってみよう”という気持ちで、これまで人間がトライアンドエラーでやってきたことをIoTで変えていけるものを提供したいと思います」。

<プロフィール>

島澤甲

ウイングアーク1st 執行役員 BI技術本部本部長

1981年2月 東京生まれ埼玉育ち。SIerとして製造業向けシステム開発に従事。その後、製造業向けパッケージの事業立ち上げなどを経て、2010年 ウイングアークに入社。MotionChart, MotionBoardの企画・開発に関わる。2014年 Dr.Sum並びにMotionBoard開発責任者に就任。2016年 ウイングアークBI事業責任者に就任。現在に至る。

ウイングアーク1st
http://www.wingarc.com/

 

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