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スマートハウス
2016.08.30

北米のスマートホームはIoTをどう使っているのか
サーモスタット、カメラ、照明器具、カギ~すべてをConnect

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北米のスマートホームのショールーム。

 日本では、「スマートホーム」「スマートハウス」というと、HEMS(Home Energy Management System)に代表されるように、家庭内のエネルギー消費をコンピュータやインターネットの技術を使って最適化する形態を指すことが多いようです。ですが、北米で普及段階に入っているスマートホームは、それに留まらず家庭に置かれるさまざまなものインターネットにつながることを前提とした商品が次々と生まれています。

 もちろん、北米でもエネルギーの効率化を実現しているサービス事例もありますが、日本は電気の「見える化」をはじめ、エネルギー利用の効率化を前提とした方向性となっています。それに対して、北米はエネルギー関係に限定しないスマートホームのテクノロジーを発展させ、ビッグデータ分析と自動制御によってエネルギーの効率利用を実現しています。

 例えば、外出を検知したら自動で照明を消し、空調も外気温の実況と天気予報をビッグデータ分析し、自動で無駄のない設定温度に変更する、といった生活シーンが実際に実現しています。

 スマートホームの有効利用は、エネルギーを供給する会社にとっても電力需要の抑制などにも効果を発揮するため、エネルギー供給会社向けのカンファレンスなどでも、ここ数年間、事業者としてのスマートホームの活用、連携といったテーマが主体となっています。

 そこで今回から数回にわたり、この分野で先行している北米の事例を中心にスマートホームが人々の暮らしをどう変えてきているのか、どういった形で普及期に入ってきているのかをご紹介します。

“Connected X”

 欧米では、スマートホームは「Connected Home(コネクテッドホーム)」とも言われており、家(Home)にあるさまざまなもの(Things)がインターネットに接続される(Connected)様を連想させるキーワードが使われています。

 類似のキーワードとして、インターネットにつながる車を表現する「Connected Car」、都市を構成するモノがつながることを表現する「Connected City」という用語もよく目にするようになってきています。インターネットを日常的に利用し、スマホなどでSNSやさまざまなサイトを通じてインターネットやその先の人々と繋がる世代のことを「Connected Generation」などと表現されることもあるようです。

 日本では、「IoT」とひとくくりにされ、業界用語的なキーワードで盛り上がっていますが、英語圏では“Connected X”という言葉でインターネットにつながる何かを表しており、言葉の表現においても日本より少し進んでいる印象があります。

インターネットにつながるモノ

 では、家庭に関係するもので、どんなモノがインターネットにつながるのでしょうか。

 北米では、スマートサーモスタット、IPカメラ、スマート照明器具、スマートロックといったモノが人気でよく売れているようです。それ以外にも、シールなどで簡単に後付け設置できる、ドアの開閉を検知できるドア窓センサーや、人の動きを検知するモーションセンサー、水漏れを検知して知らせる漏水センサー、ガラスが割れたことを検知するセンサーや一酸化炭素を検出するセンサーなども安価でよく見られます。

・スマートサーモスタット

 サーモスタットという用語は、日本ではあまりなじみがありませんが、北米の住宅では、各部屋には個別のエアコンのような後付けで設置する空調家電がついていないことがほとんどです。代わりに「HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)」という全館空調システムが各住宅に導入され、そこで調整される空気が専用ダクトを通じて部屋に送り込まれることで空調を行っています。

北米で市販されているスマートサーモスタット製品。

 日本でも、ホテルやオフィスでの空調コントロールは、壁に設置されているコントロールパネルのようなもので空調を調整しますが、まさにあのようなコントロールパネルがネットワークにつながり、スマートサーモスタットとして人気を博しています。

 元々、北米ではインターネットにつながるタイプのスマートサーモスタットは2010年頃から緩やかな普及を始めていましたが、2014年にGoogleがNest社を32億ドル(約3200億円!!) で買収したことで話題となり、世に知られるようになりました。買収された当時のNestのCEOトニー・ファデルは、かつてアップルでiPodの開発をけん引、その後、iPhoneのデザインにも関わっていた人物で、そのデザイン性や人工知能の技術などが高く評価を受けたようです。

 Nestをはじめとしたスマートサーモスタットは、スマホから操作できるだけではなく、搭載されるモーションセンサーで人の気配を察知したり、人工知能が生活パターンや好みの温度設定を学習したりすることで、人的操作がなくても自動で快適でエコになるように自律的に動きます。

・IPカメラ

 IPカメラについては、日本でも10年以上前から販売されており、存在が認知されていますが、こちらも多機能化・多様化が進んでいます。比較的廉価なものでも防滴対応、モーションセンサー対応、双方向音声対応、HD対応など高画質化が進んでいますが、最近はクラウドに一定期間映像が常時録画されるサービスが人気になってきています。

 また、何かのセンサーと連動して、それをきっかけに写真や動画が撮られる、という他の機器との連動も当たり前となりつつあります。形に関しても、一見してカメラに見えないもの、例えばLED電球自体にカメラを搭載しているものまで登場しており、量販店で売られる時代になってきています。

・スマート照明器具

 照明器具においても多様な製品が登場しています。日本でも販売されているPhilipsの「Hue」のように、LED電球そのものがネットワークにつながるものや、「スマートプラグ」といった、コンセントにネットワーク接続機能を持ったアダプタを取り付け、その先につける照明器具などを遠隔操作するタイプのもの、壁のスイッチ自体をネットワーク対応にさせるものなどもあり、どれもスマホなどで遠隔操作や状況に応じた自動制御ができるようになっています。

ドアのベルと連動するスマート照明。

 Hueに代表されるスマートLEDには、グルーピング設定ができるものがあり、一括で色を変更できる機能などが人気です。映画を見るとき、食事をするとき、お酒を飲むときなど、シーンに応じた色調をあらかじめ設定しておくこともできますし、色を変えることで何かを通知をする、といった使い方などもされています。

 例えば、スマホのGPSと連動させ、家族の帰宅や玄関の鍵が開いたことなどの変化を、照明の色を変えることで通知手段として利用する、という形での利用もされています。

 こういった通知手段としてのLED電球は、スマホを利用していない、子供や高齢者への通知手段として有効ですし、スマホに気を配らなくても視覚的に何かを知らせてくれるので便利です。

・スマートロック

 スマートロックについては、昨年くらいから日本でも、「Qrio」や「Akerun」「NinjaLock」といったスマートロックが日本でも登場し話題となり始めていますが、北米でもさまざまなスマートロックが数年前から売られています。

北米で市販されているスマートロック製品。

 スマートロックを設置していれば、鍵の閉め忘れた場合でもスマホを使って遠隔で操作ができて安心ですが、外出時に友達が遊びに来た、親戚が訪ねてきた、といった急な来客でも遠隔で対応できます。また、これは北米ならではの文化ですが、宅配が来たときに遠隔で解錠して荷物を宅内に入れてもらう、といった使い方もされているようです。

 北米ではAirbnbやHomeAway、VRBOをはじめとしたサービス事業者にけん引され、民泊が定着していますが、そういったケースでもスマートロックが便利です。民泊は貸し手と借り手の間で鍵の受け渡しが課題になりますが、スマートロックがあれば物理的な鍵の授受が不要になりますし、スペアキーを作成されるのではないか、という不安からも解消されます。

 またHiltonなどのホテルでも、ホテルの各部屋にスマートロックが導入され、スマホでチェックインを済ませれば受付をしなくても、滞在中はスマホで各部屋やフィットネスセンターなどまで解錠できるデジタルキーというサービスも始まっています。

 では、こういったスマートホームのプロダクトやサービスは、どこで手に入るのでしょうか。次回は、その辺りを紹介していきます。

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