その昔よく言われた、「モノが溢れていると発想が貧困になる」というのは、もはや通用しないのではないか、と私はカンボジアに来て思うのである。絵を描く道具もなく、その経験もないカンボジアの人びとから見えてくる風景が、何より、それを指し示していると思うのだ。