平安時代中期に紫式部が著した『源氏物語』は、70余年にわたる期間の架空の出来事を丁寧に描き、400文字原稿用紙にすると2500枚近くに及ぶ古代長編小説の逸品だ。物語としての面白さ、心理描写の巧みさから『日本古典文学史上最高傑作』と評される。 つまり、日本人が誇るべき文学作品のはずだが…多くの日本人は高校の古文の教科書で勉強したほんの一場面が遠い記憶の彼方にある程度で、稀代の色男・光源氏が夜な夜な女性のもとに通う物語という程度の知識しかない。 なにしろ、辞書なしでは読めない古典文学はハードルが高い上に、現在とは全く生活様式の異なる平安時代の貴族の物語となれば、まるでイメージが湧かない。つ