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美人社長はどこに消えた?
「セレブビジネス」崩壊で撤退相次ぐ

2008年12月22日(Mon) 相場 英雄

 前回、本コラムでセレブと呼ばれる若手経営者のビジネスが岐路に立たされていると伝えた。ここ数年、セレブな若手実業家たちは積極的な業容拡大に邁進したが、昨今の金融危機の煽りで有力なスポンサーだった海外の投資・投機マネーが一気にしぼんだ。その結果、多数のビジネスが破綻の瀬戸際にある。

 今回は、若手実業家と共同歩調を取り、急速に世間での認知度が上がった人たちにスポットを当てる。キーワードは「美人社長」だ。若手実業家とともにセレブの名を欲しいままにしていた彼女たちにも、荒波が押し寄せている。

社長になるのは「美人」が条件

 「エステティシャンが起業、チェーン展開図る」「元モデル女性、実業界でも躍進」・・・。ここ数年、新聞やビジネス、女性向けライフスタイル雑誌を中心に、こんな記事が相次いだ。書店のビジネス書コーナーでは、成功を果たした女性社長、あるいは女性幹部たちの書籍が平積みされ、ベストセラーとなる書籍も登場した。

 もちろん、現在も着実に業容を拡大させ、健全な成長を牽引している女性社長は少なくない。が、ここ数年、頻繁にメディアに露出した一部の女性社長たちが、ひっそりと撤退を始めたことはまだあまり知られていない。

 撤退、もしくは事業規模を急速に縮小させている女性社長の共通項は、ほぼ例外なく「美人」だということだ。

 なぜ一部の美人社長たちがビジネスシーンから姿を消したのか。その理由を探ると、「セレブバブル」の歪んだ一面が透けてくる(筆者は男尊女卑主義者ではないし、成功者の揚げ足を取るつもりも一切ない。あらかじめお断りしておく)。

まるで「ホステス独立」と同じビジネスモデル

 「セレブな若手実業家たちの間で、美人のガールフレンドにビジネスを持たせることが流行した時期があった」。ある金融関係者はこう振り返る。また「起業意欲の強い一部のモデルたちが若手セレブにすり寄り、ビジネスを興したケースも多々あった」とも語る。

 誤解を恐れずに言えば、大金持ちのオーナー社長が馴染みのホステスを独立させ、店を持たせたようなもの。同じ図式が、昨今のセレブビジネスでも展開されたのだ。

 前回のコラムでも触れたが、若手セレブたちはオヤジ世代の成金趣味、「ホステス起業型」を極端に嫌う。そこで自身がのし上がったように、一部の美人社長たちにもセンスの良いエステやスポーツクラブ、外食、服飾、ペットなど様々な分野でビジネスの器を用意。そこに「美人社長」が多数誕生し、ビジネスを展開させたというのが大まかな構図だ。

 だが、美人社長たち全てが経営センスに恵まれていたわけではない。「美人というプライドの上にあぐらをかき、ちやほやされて贅沢したいだけの向きが少なくなかった」(別の金融筋)

 例えば、某エステ系ビジネスの場合。社長はスポンサーの資金を元手に主要都市にいくつかの店舗を築いた。だが、この美人も経営センスには恵まれていなかったようで、「元手を使い果たした挙げ句、億単位の追加出資もすぐに底をついた」とされる。

 下世話な言い方をすれば、今までは「パパ」にさらなるおねだりをすれば済んでいたのだが、昨今の金融危機がそれを許さなかった。スポンサーである若手セレブたちのタニマチ、すなわち海外の投機マネーがしぼんだからにほかならない。

 現在、この美人社長はビジネス丸ごとを別企業に営業譲渡し、戦線を縮小中。会社のサイトを覗くと、ここ半年間更新されていない。「メディア欄」には、過去に露出した様々なビジネス誌、女性誌のPDFがむなしく残されている。

 このほかにも、「金主となる若手セレブの格を落として営業譲渡を繰り返し、ビジネスをなんとか存続させている美人も」。お叱りを承知で言えば、銀座や六本木の高級クラブのナンバーワンが独立に失敗。格下とさんざん蔑んできたキャバクラに転じたものの、プライドの高さが災いして成績はビリ。最終的には場末のスナックに落ちていく姿と重なる。

メディア界の責任も重大

 こうした美人社長たちを積極的に取り上げた新聞、雑誌。あるいは「美人社長の豪邸拝見」などと煽りまくったテレビのワイドショーの責任も重大だ。

 「“美人社長”系の単行本が売れまくったのは事実。だが、最近複数のビジネスが破綻したことを知り、責任を巡って社内が揉めている」とは某出版社幹部の弁。

 ビジネスを頓挫させた美人社長たちの多くは、多数の会員なり契約者を抱えていた。センスの良い会員制、フランチャイズ型のビジネスが多かったためだ。

 金主だった若手セレブ同様、彼女たちの経営も急速に逆回転を始めている。最終的には、美人社長型に憧れた一般のOL、または自身の起業のためにカネを注ぎ込んだ顧客が放置されているのだ。

 こうした現状は、メディアの「経営面」ではなく、「社会面」で今後指弾されることになろう。同時に、売れる素材、あるいは画になるキャラクターとして、彼女たちのビジネスやライフスタイルを積極的に取り上げ、側面支援したメディア界の姿勢も批判にさらされるのは必至だ。