確たる理由や目的によって『牛を屠る』仕事に就いたのではなく、ある偶然によってそこで働けるとなった時に、私はそれを拒まなかった。そして、ナイフを握って働くうちに、働き続けてもいいと思うようになっていった。自分のことながら、誠にしっくりくる説明で、児玉さんが私を追及してくれなければ、「拒まなかった」という表現は出てこなかったと思う。